シンクランチ、なぜ起業から1年4カ月で株式売却に成功?
上村康太副社長(右)
ゴールドマン・サックス、ベイン&カンパニーなどの複数の外資系金融機関やコンサルティング会社を経て、ライブドア時代にはあのニッポン放送買収を担当し、ライブドア証券副社長に就任。現在は、経営共創基盤(IGPI)でパートナー/マネージングディレクターとして企業の事業開発、危機管理、M&Aアドバイザリーに従事するのが、塩野誠氏である。そんな塩野氏が、ビジネスのインフォメーション(情報)をインサイト(洞察)に変えるプロの視点を提供する。
Facebook上で、個人の興味やニーズに応じて、ビジネスランチの相手をマッチングするサービス、ソーシャルランチが人気を呼んでいます。
このサービスを運営するシンクランチ社は、昨年2011年8月15日、グーグルを辞めた2人の20代の若者によって設立されました。そして2012年12月7日、わずか1年4カ月で、設立当初の目的であったEXIT(株式売却によるキャッシュイン)に成功しました。
筆者は、KDDI ∞ LaboというKDDIが運営する先進的なインターネット企業のインキュベーションプログラムで、まだ会社も設立していない2人の創業者に出会いました。その後、KDDIオープンイノベーションファンド、京大ベンチャーNVCC1号と共に、筆者がマネージングディレクターを務める経営共創基盤(IGPI)より、シンクランチ社に投資を行いました。
今回は、「事業をつくり売却する」という有言実行を果たしたシンクランチの福山誠社長(28歳)と上村康太副社長(26歳)に、株式売却の契約直前にインタビューを行いました。
塩野誠(以下、塩野) 今回のEXIT(売却)は、一足早いクリスマスプレゼントじゃないですか?
福山誠氏(以下、福山) いや、まだ決まってないので、最後までわかりませんよ。
上村康太氏(以下、上村) 今回の件、奥さんに話した?
福山 家族には話をしましたけどね。
上村 安堵してた?
福山 起業した時には「2年以内に結果を出す」って妻に言っていました。具体的に結果というのは、辞めたグーグルの年収を超えるとか、今回みたいに大きくEXITするとか、そういう“契約”で起業したんですよ。
上村 奥さんとの契約ね(笑)。
福山 そう。奥さんとの約束(笑)。それでちょうど1年半くらいたつわけじゃないですか。「そろそろ2年たちそうだけど?」と、結構詰められていましたね。
上村 「結果出せるの?」みたいな。
福山 そういうプレッシャーはありましたが、今回のEXITのことを話したら喜んでくれました。
上村 2歳の娘も?
福山 娘も「よくやった」って(笑)。
塩野 私の書いた『リアルスタートアップ』(集英社)の時のインタビューでも聞きましたが、よくグーグルを辞めたなって思います。やっぱり起業には2人とも自信があったんですか?
上村 自信もあったと思うんですけど、今思えば単に無謀だったなと思います。
福山 知らないことの強さみたいな。「若さゆえの強さ」ですね。