シンクランチ、なぜ起業から1年4カ月で株式売却に成功?
福山 ケンカはしなかったですね。エンジニアの僕が上村に「営業っていうのはよう……」って言ったりしなかったですし(笑)。役割分担は重要ですよね。
上村 今まで拡大の時期で、順調だったというのが大きいと思いますけどね。1年間、濃密でメチャクチャいろんなことがありました。
福山 エクストリームスポーツに、ダウンヒルというのがあるじゃないですか? 急斜面の山道を、自転車で超高速に下るというスポーツ。怖がってブレーキしたり無駄にハンドル操作すると、超高速なので必ず転倒するんですよね。スタートアップというのは、あれに似ているかもしれませんね。ノンブレーキで恐れずに突っ走るっていうのが、最適解という点で。僕はダウンヒルやったことないですけど。
塩野 そういう経験をその年齢でしてしまって、今後どうなるんですかね? 上村さんは文系だし、京大出て今頃は商社で働いていても不思議はないですよね?
上村 どこに行っても生きていける気にはなりましたね、でも大企業は行かないかな。起業して一番良かったのは、自分や自分の将来と本気で真剣に向き合ったことです。
塩野 お2人とも大企業に行った大学の友達に、「よくリスクとるな」とか言われませんでしたか?
上村 みんな「すごいね」って言うけど、腹の底では“ハミ出し者”って見てる感じですかね。
福山 僕の周りには大企業に行った友達がそもそもいなくて(笑)、「お前もか」みたいな。もともとハミ出し者だったんですかね。プログラミングを始めたのは大学でしたが、最近、女性のプログラマーがどんどん増えたらいいなと思っていて、子育てしながら部分的でもプログラミングはできたら、女性の働き方が劇的に変わりますしね。
上村 文系でプログラミングできないと、やることは経営管理とか営業に限られますね。
塩野 これからソーシャルランチはどうなるんですか?
福山 サービスとして次のステージに上がれるように、(売却先の)Donutsさんと一緒に、リニューアルとさらなるマネタイズを行って参ります。Donutsさんはサービスに対する意識が非常に高い会社です。ソーシャルランチとしても、今回のEXITは本当に良い選択だったと思います。今後にご期待ください。
塩野 最後に、これから起業しようと思う若者にメッセージをお願いできますか?
福山 とりあえず起業する前に、サービスを試してみることだと思いますね。本当に伸びるのか? 必要とされるサービスなのか? というのを試すことですね。
上村 KDDI ∞ Laboに入ってアドバイザーの方に最初に言われたのが、「どうなりたいの?」っていう言葉で、「起業したいんです」って言ったら、「いや、そうじゃなくて、個人としてどうなりたいの?」って言われました。起業する時には、それはとことん考えておいたほうがよいと思いますね。それが固まってると、いろんなことが起こった時に軸がぶれにくいと思います。
塩野 本日はありがとうございました。ベンチャー投資の世界では言い古された言葉ですが、今回も「優秀なチームに投資することが全て」というのを再認識した投資案件でした。
※本稿は筆者個人の意見であり、所属する団体等の見解ではないことをご了承ください。
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