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ハゲタカファンドのマネーゲームの末に…

東京スター、台湾大手行への身売りで、新生銀とあおぞら銀の合併再浮上?

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東京スター銀行
“お金がたのしい”ってなんか自己啓発っぽい?
(「東京スター銀行HP」より。)
 台湾の大手銀行、中国信託商業銀行(台北市)は1月10日、首都圏を地盤とする第二地方銀行の東京スター銀行(東京・港区、入江優頭取)の買収を正式に提案した。米投資ファンドのローンスターや新生銀行、仏金融大手のクレディ・アグリコルなどの株主が、買収に賛同する意思を示している。これらの株主が保有する普通株式のほぼ全てを買い取る内容で、買収額は500億円程度とみられる。中国信託は、今後、詳細な資産調査を行い、買収額を確定する。

 日本の銀行の買収は、米リップルウッドによる新生銀行(旧・日本長期信用銀行)や米サーベラスによるあおぞら銀行(旧・日本債券信用銀行)、米ローンスターによる東京スター銀行(旧・東京相和銀行)など外資系ファンドが主流だったが、海外の銀行による買収は初めてだ。

 中国信託は預金量4兆円超と、台湾の民間銀行で最大の規模をもつ。台湾のほか中国本土、インド、インドネシア、ベトナムなどアジア各地に進出。日本では東京・港区に支店を構えている。大阪、名古屋、福岡などにも店舗がある東京スターの買収で日本での業務を一気に拡大する計画だ。急成長するアジアの銀行が、日本で勢力を拡大する象徴的なケースとなった。

 東京スターは、投資ファンドのマネーゲームのカードだった。前身は99年6月に経営破綻した第二地方銀行の東京相和銀行。01年6月、米投資ファンド、ローンスターが設立した東京スターに営業譲渡した。破綻の際には8000億円の公的資金が注入された。

 東京スターは05年10月、1株43万円で東証1部に上場した(東京相和銀行からカウントすれば再上場になる)。その際、ローンスターは保有株式の30%を売却し900億円の現金を手にした。さらに08年1月、残りの保有株(発行済み株式の68%)を1株36万円で、国内大手投資ファンド、アドバンテッジパートナーズ(AP)が実施した株式公開買い付け(TOB)に応じて売却した。売却額は1700億円。

 ローンスターは400億円で手に入れた東京スター株式を、合わせて2600億円で売却。出資金を差し引いた売却益の総額は2200億円に達した。

 TOBが成立した東京スター株式は08年7月、上場廃止となった。再上場してからわずか2年9カ月であった。東京スターは投資ファンドのマネーゲームのカードとして、上場され、またまた上場廃止になったのだ。

 ハゲタカファンドの次なる狙いは、東京スターの再々上場である。APにTOB資金を出したのは新生銀行、あおぞら銀行、クレディ・アグリコルなど、いわゆる外資系金融機関である。彼らは、東京スターの再々上場によるハイリターンを期待していた。

 東京スターの再々上場は早くて2011年、遅くとも13年といわれた。だが、2匹目のドジョウはいなかった。原因は、リーマン・ショックが引き起こした金融危機に伴う東京スターの業績悪化である。

 TOB資金の融資を受けた新生銀行などの銀行団とAPは、東京スター株の配当を利払いに充てる契約をしていた。だが、東京スターは10年3月期に27億円の最終赤字に転落。11年同期も46億円の赤字となり、配当ができなくなった。無配となり、APから銀行への利払いが滞った。そのため、APは11年5月、融資の担保としていた東京スター株式を銀行団へ譲渡した。返済が滞れば、銀行団はAPに貸したカネは不良債権となり、多額の貸倒引当金を積まねばならない。東京スター株式と交換すれば、債権放棄も引当金の積み増しもしなくて済む。銀行団はこの株を特別目的会社に移し替え、特別目的会社にはローンスター、新生銀行、あおぞら銀行、クレディ・アグリコルなどが参加した。

 東京スターの株主は5社。特別目的会社のシャイニング・スター合同会社とアライド・ホールディングス合同会社がそれぞれ38.17%、オリックスが22.22%(議決権のない優先株)、経営破綻した日本振興銀行と親密な関係にあったネオライングループのNLHDが1.42%、Merril  Lyunch Capital Corporation(メリルリンチ)が0.00%(小数点3位以下は切り捨て)だ。結果的にローンスターが再度、大株主になった。