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ハゲタカファンドのマネーゲームの末に…

東京スター、台湾大手行への身売りで、新生銀とあおぞら銀の合併再浮上?

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 銀行団が損失を免れるためには、東京スターの経営を立て直して再々上場させて、株を東京市場で売り抜けるしか道はない。だが公的資金の返済も終わっていない新生銀行にそのような力業を行う経営体力はない。次善の策が損失覚悟の売却である。東京スターを台湾の中国信託に500億円で売却すれば、最終的な損失が確定する。最も打撃が大きいのは新生銀行とみられている。

●新生銀行も迷走続く……。

 新生銀行は、まだ2169億円の公的資金の返済のメドが立っていない。あおぞら銀行は公的資金の前倒し返済策を打ち出した。政府から投入された公的資金2049億円を「17年3月末までに返せる」として、今後10年で返済する計画を前倒しする方針を示した。

 あおぞら銀行の前身は、98年12月に経営破綻した日本債券信用銀行。00年9月、ソフトバンク、オリックス、東京海上火災保険(現・東京海上ホールディングス)を中心とする企業連合に譲渡。03年8月、米投資ファンドのサーベラスがTOBにより、あおぞら銀行の筆頭株主になった。ソフトバンクの孫正義社長は日債銀株式の買い取りに493億円を投下したが、2年半後にサーベラスに1000億円で売却。短期間で500億円余の売却益を得た。旧日債銀には、損失の穴埋めに3兆5000億円の公的資金が投じられた。孫社長が持ち株を売り逃げしたため、日債銀からあおぞら銀行に看板が掛け変わった銀行は、ハゲタカファンドと呼ばれたサーベラスの持ち物になった。

 それから9年。公的資金返済のメドが立ったことで12年9月、ブライアン・プリンス社長は会長に退き、後任に馬場信輔副社長が昇格。新体制となったあおぞら銀行は今年1月7日、筆頭株主である米投資ファンドのサーベラスが保有株の大半を国内外の市場で月内に売却すると発表した。売却額は約1500億円で、数百億円単位の利益が出る見通しだ。サーベラスの議決権比率は現在の57.8%から7.7%に下がるが、筆頭株主にはとどまる。

 あおぞら銀行は、公的資金とサーベラスのくびきから解放される出口が見えてきた。11年夏、豪金融大手のオーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)が、あおぞら銀行買収の検討に入ったが、巨額な公的資金が注入されていることがネックとなり、買収交渉は中断した。公的資金の返済のメドがついたことから、ANZによるあおぞら銀行買収の話が再燃する可能性がある。

 東京スター、あおぞら銀行は、海外勢を巻き込んだ金融再編の渦中にある。取り残されたのが新生銀行だ。金融庁は10年当時、公的資金の返済のメドが立たない新生銀行とあおぞら銀行を合併して経営を一本化。株主の負担で公的資金を返済させた後に、民営化した日本政策投資銀行に合併させるという青写真を描いていた。しかし、新生銀行の業績の悪化で、合併は破談となった。

 とはいえ、公的資金の返済の見通しがまったく立たない新生銀行を放置することはできない。東京スターに対する損失確定が口火となり、金融庁が主導する新生銀行の再編が再度、浮上してくる公算が大きい。国内に候補がいなければ、相手は海外の銀行ということになる。日中の緊張した関係が続いており、まさか中国本土の銀行ということはあるまいが……。
(文=編集部)

BusinessJournal編集部

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