『売れる販売員の接客ルール』
著:森田真実/監修:森田正樹
PHP研究所
いかに相手の信頼を得るか、というのは対人関係の基本。
そして、信頼を得るためには、相手に自分との会話を“心地いい”と思ってもらうことが第一条件です。これは日常生活においても重要なことですが、接客など、ビジネスでの対人関係でも不可欠な要素だといえます。
では、どうすれば相手に“心地いい”と思わせる関係を作ることができるのでしょうか。
今回は、「対人関係のプロ」とも言える販売員のコミュニケーションスキルが紹介されている、『売れる販売員の接客ルール』(森田真実/著、森田正樹/監修、PHP研究所/刊)からいくつか紹介します。
■人間関係の「3つの距離感」とは?
人間関係には3つの距離があります。
一つは「観察の距離」。
これは、挨拶をして、相手の顔を眺めながら様子を感じ取る時の距離感で、まだ相手とは距離が離れている状態だといえます。
もう一つが「確認の距離感」で、相手と情報交換したり、互いの意見を述べ合う時の距離感です。「観察の距離感」よりは近いですが、まだ心を開くまでには至っていません。久しぶりに会った友達と近況報告をしあう時の距離感というとわかりやすいかもしれません。
最後が「共感の距離感」です。これは相手の気持ちに共感し、はっきりと親しみを感じる近い距離感。ここまで近くなると、「最近こんなうれしいことがあった」など、自分の本音が出るような会話ができます。
自分と相手の距離が、この3つのうちのどの状態にあるのかを把握し、それに合わせた接し方をすることが、相手に“心地いい”と感じてもらえるコミュニケーションをするためには重要となります。
その際、「観察の距離感」ではあくまで礼儀正しく、「確認の距離感」では好意的に、「共感の距離感」ではにこやかに親しみを込めて対応する、というのが基本。どの距離感かは人によって違いますし、同じ相手でも時と場合によって変わりますので、相手の状態を細かく把握する洞察力も身につけておきたいところです。
■相手のペースを知る
人それぞれ持っている個性のうち、「時間感覚」というものは最も大きな違いとしてあらわれます。仕事のペース、歩く速さ、食べるスピードなどの違いは、みなこの「時間感覚」の差によって生まれ、人と人の間の摩擦の原因になったりもするのです。
たとえばあまり迷わずに買い物をする人と、ゆっくり時間をかけて買い物をする人が一緒にショッピングに行けば、迷わない方の人は「もっと早く選べないの?」とイライラすることになりますし、歩くのが速い人と遅い人が一緒に行動すると、遅いほうの人はついて行くのに疲れてしまったりします。
この、時間感覚の違いを埋めることができれば、相手と“心地いい”関係を築くことにつながるはず。
そのための方法は、一緒にいる相手と「一体感」を感じること。こちらが一方的に相手の時間感覚に合わせようとするのではなく、相手の気配を感じながら、相手と「一つの塊になる」という意識を持つことで、相手にもその意識が伝わり、自然と相手と自分の時間感覚は徐々に合ってくるはずです。
本書は販売員に向けて書かれたものですが、人との距離の取り方や、相手と時間感覚(ペース)を一体化するといったことは、対人関係全般においてもとても重要なことです。
どんな相手とも信頼関係を築いていくために、プロの販売員たちのテクニックを参考にしてみてはいかがでしょうか。
(文=新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです。
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