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吉田潮「だからテレビはやめられない」(3月21日)

最近やたらとゴチャゴチャなテレビ画面、内容の薄さをゴマカすテレビ局の悪だくみ?

文=吉田潮
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最近やたらとゴチャゴチャなテレビ画面、内容の薄さをゴマカすテレビ局の悪だくみ?の画像1「Thinkstock」より

 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組とその“楽しみ方”をお伝えします。

 テレビの画面は、いつからこんなにゴチャゴチャになったのか。

 画面の左上には今現在放映している内容の見出し、右上には次の項目あるいは同局別番組の予告、画面下には話している内容のテロップ(強調文字)、出演者の表情を映し出す小さなワイプ画面がチャラチャラ入るのは当たり前。家庭のテレビ画面が比較的大きくなったとはいえ、常に画面上は大渋滞状態である。特にバラエティ番組や情報番組は顕著だ。

 批判するつもりはないし、私自身もこのゴッチャゴチャ画面にすっかり目が慣れてしまった。同時多発の文字情報の嵐の中から、本当に必要な情報だけを絞り込む。年寄りにはさぞかしキツイだろうなとは思うが、これが世の常。どこかの局が始めたら、みな追随していく。実際に、情報過多な番組は文字で煽れば煽るほど中身が薄いことも露呈する。ワイプに映る芸能人のわざとらしい表情は、臨場感を盛っているだけで、今観るべき必要性がまったくないことを証明しているのだから。

 さらには、ツイッターなどの連動で、生放送中にどうでもいい視聴者のつぶやきまで垂れ流しになる。これがいちばんイラっとする。もちろんテレビ局がそれなりの基準を設けて、採用するコメントを取捨選択しているのだろうけれど、ホントにどうでもいいコメントがダラダラと流されるのは腹が立つ。出演者の言葉をそのままなぞるだけのコメントや、出演者をただ単に褒めちぎるベタなコメントとか、不要なつぶやきばかり。日本語がおかしいどころか、顔文字や小文字の「わ」連発のコメントにも愕然とする(女子中学生か)。

鳥肌モノの視聴者のツイート

 NHKの『NEWS WEB 24』はツイッター連動のニュース番組で、津田大介や古市憲寿ら若手論客の起用が功を奏している(このふたりが出ている番組は結構観ちゃうんだよな)。深夜にもかかわらず視聴者のツイートが次々と垂れ流されるのだが、ここではさすがに鋭い意見やつぶやき、疑問や提言が多い。小文字の「わ」や顔文字が登場する頻度は低く、「なるほど、そこにツッコむのか!」と膝を打たせる意見もよく見かける。

 が、「実際の生活では何も言えないくせに、匿名となると異常に強い自己顕示欲を表す」人々がわんさかいるのも確かだ。NHKが採用しているツイートなので、厳選されたコメントなのだろうが、ちょっとうっすら鳥肌モノである。

 複雑で細かくて、文字情報が異様に過多なテレビ画面。これをテレビ局の斬新な改革とたたえるべきなのか、小うるさい視聴者への卑屈な迎合ととらえるべきなのか。視聴者の動体視力を鍛えるトレーニングという一面もあるし、耳の不自由な方にとっては、放映内容が手に取るようにわかるため、メリットも大きい。

 でも意地悪な目で見れば、視聴者の集中力・注意力を散漫にしておいて、番組内容の薄さ・質の低さを見抜けないようにするテレビ局の悪だくみとも考えられないだろうか。

 ま、テレビの画面づくりにははやり廃りもあるので、一過性の傾向なのだろう。そういえば、やたらと画面を分割してチャッチャと切り替えるアメリカのドラマ『24』風の画面づくりも、日本のドラマで一時期乱発されていたっけ。今じゃほとんど見かけないし、見かけたとしても古臭い印象しか残らない。

 数年後には、シンプルで無駄のない、アナログな画面が急激に増えるかもしれない。
(文=吉田潮/ライター・イラストレーター)

吉田潮

吉田潮

ライター・イラストレーター。法政大学卒業後、編集プロダクション勤務を経て、2001年よりフリーランスに。「週刊新潮」(新潮社)で「TVふうーん録」を連載中。東京新聞でコラム「風向計」執筆。著書に『幸せな離婚』(生活文化出版)、『TV大人の視聴』(講談社)などがある。

Twitter:@yoshidaushio

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