著:ひすいこたろう、石井しおり
サンクチュアリ出版
常識を持つことは社会人として、そして人として大事なことだろう。
しかし、その枠から外れて初めて気付くこともある。あなたを小さく縛る常識なら取り払ってみることも必要だ。思い込んでいる常識を一度疑ってみてはどうだろうか。
『常識を疑うことから始めよう』(ひすいこたろう、石井しおり/著、サンクチュアリ出版/刊)では、常識を無視して成功してきた先人たちのエピソードと名言を紹介。コピーライターのひすいこうたろう氏と石井しおり氏が、彼らが成功した本当の理由を独自の視点で解き明かす。
静岡に変わった居酒屋がある。なんと入口がないのだ。店があるべきところには壁しかなく、店なのかさえも分からない。
ただし、横に細い通路があり、そこを15メートルほど歩いて右折すると、「岡村昇」という家の表札がある。そして、わざとなかなか開けられないように重く作られた鉄の扉をあけると、100人くらいが入れる居酒屋が広がっているのだ。この居酒屋のオーナーである岡村佳明社長は、いかにお客さんに見つからないお店をつくるかに命をかけている人だった。「どうやったらたくさんのお客さんに来てもらうかは考えてない。それよりも、来てくれた方に、いかに喜んでもらうか、そこばっかり考えている」という考えから、入り口がないという変わった居酒屋が誕生したのだ。
報告、連絡、禁止。残業禁止。ネクタイ禁止。上司は部下に命令禁止。ノルマ禁止。携帯電話禁止。年間休日140日(正月休みは20日間など)。育児休暇3年。今の日本社会からすれば、まさに“常識はずれ”。そんな社内ルールを作った会社がある。岐阜県に本社をおく未来工業だ。
日本の会社で、経営利益が4000万以上ある会社は全体のわずか3%。しかも、この比率は20年間変わっていない。未来工業株式会社の創業者である山田昭男氏は、この数字を見て、衝撃をうけ、こう考えた。「常識どおりにやったら儲かる会社はたった3%に過ぎない。ならば、常識の逆を行こうじゃないか」と。他の会社は当たり前のように残業するらしいから、未来工業は残業禁止。こんな非常識な会社は、どうなったか。売上高は200億円以上に成長。創業以来40年以上赤字なし、日本トップレベルの給料を支払い、上場まで果たしている。
ただ、未来工業の本質は常識の逆をいくことではない。未来工業では社員がやりたいと思ったことは、すぐにやることができる。なぜなら、相談、報告禁止だからだ。やってみてダメならやめればいい。未来工業の壁にはいたるところに「常に考える」という大きな標語が貼ってある。この結果が、未来工業の特許数の数に現れている。特許の数は664個。800人ほどの社員から寄せられる新しい提案の数も年間1万6000件にものぼるという。非常識な社内ルールは、自分でちゃんとひとつひとつ考え抜ける社員を育てるのだ。
誰もやっていない新しいことに挑戦して成功を収めた人は、その過程で世間や周りの人から非難されるというのはよく聞く話だ。常識を疑って、その常識を自分で破っていくのは怖いことかもしれない。しかし、そのくらいやらなければ、成功することはできないのかもしれない。
(文=新刊JP編集部)
※本記事は、「新刊JP」より提供されたものです
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