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アメリカに足元見られる日本 TPPいよいよ不利に!? TPP推進派の日経のみ楽観視

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たちこめる暗雲。
(「Thinkstock」より)
 日本の環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加に向けて進めてきた、日米両政府の事前協定の合意書が、12日に発表された。以前から、後発の日本にとって不利な条件が重なることが懸念されてきたが、それが現実のものになるかもしれない。

 日本政府が発表した合意文書では、「日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品といったセンシティビティー(重要項目)が両国にあることを認識する」と明記されたが、米国政府が発表した合意文書では農産品について明確な言及はされてなかった。これが今後、日米間で火種となりかねないーーそう指摘するのは、12日付の朝日新聞朝刊だ。

 コメなどの農産物の完全撤廃を目指していた日本側だが、今回の事前協議では具体的な約束は取り付けられず、TPPの本交渉へと持ち越しになった。一方、日米協議の焦点となった自動車分野では、日本車にかかる関税が維持されることになり、その期間も「TPPで認められる最長期間」で、10年を超える可能性もあるという。極めて米国に有利な条件だ。

 今回、このように日本側が譲歩せざるを得なかったのは、7月に開催されるTPP交渉会合に向けて、妥結を優先した結果だった。経済産業省幹部曰く、米国に「足元を見られて高い入場料を払わされた」(朝日新聞)という今回の日米協議。自動車以外にも、製造業や農業、保険、食の安全などで、日本は課題を残す結果となった。

 東京新聞は13日の朝刊で、日本画TPP交渉に参加した場合に想定される課題と影響について言及している。米側は、日本政府が全額出資する日本郵政グループのかんぽ生命保険と民間企業の競争条件を対等にするように要求。麻生太郎金融担当相は12日、かんぽ生命保険の業務拡大を数年間凍結する意向を表明した。

 また、農薬や遺伝子組み換え作物などの食品安全に関する基準についても、米側は緩和するべきだと主張している。もし譲歩せざるを得なくなれば、日本がこれまで築き上げてきた食の安全が失われる恐れがあるとも考えられる。  さらに、知的財産の分野では米側が著作権法の「非親告罪化」を提案しているが、実現した場合の「最悪のシナリオ」をマンガ家の赤松健氏が自身のブログで紹介。現在は黙認されている二次創作やパロディ作品が訴えられる可能性もあり、「文化の発展に逆行する」と書いている。

 そのほかのメディアでも、見通しの暗い論調が主流だ。そんな中、TPP推進派の日本経済新聞は13日付の朝刊で「米国が自動車関税の撤廃を先送りにしても、日本の自動車業界にそれほど大きな影響を与えない」との見方を示している。乗用車の関税率はすでに低く、トラックは日本メーカーの米国内での現地生産が進んでいるため、TPP交渉に参加するメリットに比べれば、必ずしも高い入場料ではないとの考え方もできる。

 それよりも、農業に配慮して、日本が「聖域」の議論を持ち込んだことで、米国内の保護主義を刺激してしまったことの方が問題だという。「交渉に例外項目をつくらないというTPPの趣旨に照らせば、交渉でコメの除外を求めるのはよくない。自動車などの工業品で参加国に例外を作らせる要因となる」(日本経済新聞)と、本間正義・東大教授が指摘するように、オーストラリアも自動車関税の撤廃を先送りするように主張を始めている。参加国にこの動きが広がれば、日本のTPP参加のメリットはますます小さくなってしまう。

 現在、11カ国が加わる交渉は既にかなり進行していると見られるが、その内容は非公開だ。そのなかで、最後発という不利な立場にある日本は、TPPで追求すべき国益をしっかりと見極める必要があるだろう。