最短3カ月、最長12カ月の間で3カ月刻みに用意された選択肢から不使用期間を指定しておくと、実際にログインされなくなってから指定期間になる1カ月前に警告メールが送られてくる。それに反応がないまま期限を迎えたら、ユーザーが亡くなった、もしくはなんらかの事情でアカウントが利用できない状態にあると判断される仕組みだ。データは削除するだけでなく、ユーザが指定した人に委ねることもできるが、アカウントを譲るわけではなくデータだけが渡されるので、死後に“なりすまし”されるような心配はないという。
アカウントを丸ごと削除してもらえるのならば、Android搭載のスマートフォンから購入したアプリの履歴等も消えるわけで、うまく利用すればこの1つのサービスでデータ資産の整理をかなり便利に済ませられそうだ。
●データ完全削除やパスワード委譲まで
死んでしまった自分には後のことなど関係ないと割り切ってしまえる人ならよいが、多くの人は言い残したいことがあったり、見られたくないものがあったりするだろう。
そういう人は、具体的にどのように対処すればよいのか?
まず、オンラインサービスを利用していて家族等に知られたくないというだけならば、自動ログイン機能を利用せずにおき、簡単にはわからないパスワードをサービスごとに使い分けていれば、まず見られる心配はないだろう。
PC内部のデータならば、データを削除してくれるソフトなどを利用するとよい。実際にユーザーの死後にデータを削除してくれるものとしては「死後の世界」「僕が死んだら…」という2つのソフトが有名だ。
逆に、オンラインで管理しているデータを近親者に見てもらいたいという場合には、パスワードとIDを知らせる必要がある。病気等で準備期間がある程度あるならば普通にメモを残せばよいが、ふいの事故などに備えるサービスも存在する。たとえば「PassMyWill」は普段投稿しているTwitterやFacebookの動きがなくなったらユーザーに何かあったと判断して、指定した人にパスワードを送付してくれるらしい。
●ネット仲間に「お別れ」「いるふり」をする方法も
単純に親しい人たちへのお別れの準備をしたいというだけならば、メールや動画等でお別れメッセージを残せるサービスがいろいろある。文字だけではなく映像を残したい、遠く離れた場所にいる友人にメッセージを送りたい、というような人は利用してみてはどうだろうか。
今はSNSでしかつながっていない、毎日会話をするけれど顔は見たことがないというような微妙な関係の人も多くいる。そうした人々にまで自分の死を知らせたいか、というようなことも考えてみたい。多くの人に自分の死を知ってほしいならば、Facebookに遺言が公開できる「If I die」のようなサービスを使うか、親しい友人や家族にブログやSNSを管理してもらい、代理でメッセージを公開したりしてもらうとよいだろう。
逆に、自分の死は知らせたくない、生きているかのように思っていてほしいという気持ちに応えてくれる「LIVESON」のようなサービスも作られはじめている。完全に生きているふりをするというよりは、自分という存在をネットの中だけに少し残す程度のことにはなるだろうが、おもしろい試みだ。
遺言というと遺産分配のために残す文書というようなイメージもあるが、こうしたサービスを利用すると、気軽にちょっとした気持ちを残すことができそうだ。「もし今自分が死んでしまったら、どうなるんだろう」とたまに考え、各種データを整理するとともに、色々なサービスを検討してみるのもよいかもしれない。
(文=エースラッシュ)