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北朝鮮サイト『わが民族同士』登録者1万5000人流出

アノニマスが韓国内の親北派を暴露  “右傾化”朴政権が魔女狩りを後押し

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アノニマス
「絶対に許さない 絶対にだ」(撮影:david_shankbone「Wikipedia」より)
 サイバー攻撃の脅威が目に見えるようになり、その対抗策が全世界で声高に叫ばれている。日本でも4月10日、東京や神奈川、大阪など全国13都道府県警で「サイバー攻撃特別捜査隊」が発足し、サイバー攻撃からの具体的な防御策がとられた。この発足には、2012年6月、国際的ハッカー集団「アノニマス」によって、財務省や日本著作権協会、自民党、民主党、つくば市の宇宙航空研究開発機構(JAXA)などがサイバー攻撃を受けたことが深く関連していると推測することができる。

 そのアノニマスは4月4日、今度は北朝鮮のサイト『わが民族同士』などをハッキングし、1万5000人にも及ぶ個人名簿を流出させた。彼らは、北の核施設への攻撃も計画していると明かし、つまりは北朝鮮へのサイバー戦争を宣言した。

 そもそも“匿名”という意味で名付けられたアノニマスは、これまでにも多くの企業や有名団体に対してサイバー戦争を宣言し、その実力は全世界に知れ渡っている。彼らは“私たちには名前がない” “私たちは許さない”などの標語を掲げており、インターネット上で情報を共有する自由と、表現の自由が守られるべきという信念を持つ。ハッカー集団である彼らの特異点は、リーダーを持たない、とされていること。ある個人の意思決定で動く団体ではなく、自らが標榜する正義によって無政府的に活動する集合体と言えるだろう。

 アノニマスが今回、北朝鮮のサイト『わが民族同士』をハッキングし、そのサイト登録者の個人情報を韓国に流出させたことにより、韓国では現在“魔女狩り”とも言うべき事態が起ころうとしている。同サイト登録者=親北派という観点から、一部の人たちは「スパイ名簿が公開された」と声を荒げており、サイトをどのように利用していたかにかかわらず、登録者が無差別的に犯罪者となる事態が危惧されているのだ。

 この“魔女狩り”の法的根拠となっているのは、「国家保安法」だ。国家保安法とは、反国家活動を規制し、国家の安全保障のために制定された法律なのだが、韓国ではこれまで多くの民衆運動家や統一運動家が“親北”の烙印を押され、同法違反で拘束されてきた。これに対して韓国内では、表現や思想の自由を奪うという意見も多く、この法について議論が絶えない。この国家保安法が『わが民族同士』を有害サイトに指定しているため、当局はサイト登録者を同法違反の容疑で取り締まることも不可能ではないのだ。

 しかも、“魔女狩り”の危機をさらに後押ししているのは、朴槿恵政権の人事だ。朴大統領は最近、法務府長官、国家情報院長、検察総長、憲法裁判所長(候補者)を公安出身者で固めて、国家保安法の強化に乗り出そうとしている。実際、朴大統領の人事で法務府長官になったファン・ギョアン氏は、11年に「最近、親北勢力が増えたのは、91年に国家保安法を改正したため」と明かし、厳格な国家保安法の適用について予告していた。韓国のさまざまな専門家は今回の人事に対して、「公安出身者が治安を担う要職についたことで、公権力で市民を無差別に取り締まる“公安統治時代”への回帰が生まれようとしている」と話す。時代に逆行する右傾化が危惧されているのだ。