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反応さまざまなあのニュースをどう読む? メディア読み比べ(5月7日)

長嶋・松井国民栄誉賞へ批判の声も 政界と読売に政治利用されるスター

文=blueprint
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(撮影:Keith Allison「Wikipedia」より)

 プロ野球巨人の元選手・監督の長嶋茂雄氏と、巨人や大リーグ・ヤンキースなどで活躍した松井秀喜氏への国民栄誉賞授与式が5日、東京ドームで行われた。表彰式では安倍晋三首相が2人に表彰状や盾、記念品の金のバットを贈った。このニュースを祝福の声とともに各メディアが報じている。

 6日の朝日新聞朝刊によると、2人同時の受賞は1984年の長谷川一夫氏、植村直己氏以来29年振り。また、国民栄誉賞授与式が首相官邸以外で行われたのははじめてだという。

 ただ、異例の「師弟ダブル受賞」を祝福する一方で、4月1日の発表以来、今回のタイミングでの授与を疑問視する声も多く見られた。

 スポーツ評論家の玉木正之氏はニュースサイト・news-logで、松井氏の引退セレモニーに合わせて、東京ドームで授与式が行われたことについて、「政界(自民党)と強いパイプを持つ読売新聞グループ本社代表取締役会長・主筆のナベツネこと渡邉恒雄が働きかけた結果」と分析し、プロ野球が政治に利用されていることに「不快感を感じた」と述べている。

 4月20日発売の週刊現代によると、松井氏の受賞は長嶋氏ありきのものだったようだ。2012年12月には、安倍首相から巨人・原辰徳監督に長嶋氏の授与内定の話があったという。しかし、昭和の大横綱・大鵬として活躍した納屋幸喜氏に生前授与できなかったことが問題視されており、このタイミングで授与すれば長嶋氏の健康不安説を煽りかねない。そこで、浮上したのが師弟ダブル受賞のプランだった。

 さらに、安倍首相と原監督とは別に、渡邉氏と森喜朗元首相との間でも、水面下で話が進められていた形跡があるという。将来の選択肢として、指導者を考えているという松井氏を「他球団には絶対、渡したくない。メンツにかけて読売に戻したい」と、渡邉氏が「政界と球界の大物を頼った」(巨人OB)というのだ。

 また、4月6日の東京スポーツでは、ジャーナリストの藤本順一氏が「異議アリ」の待ったをかけた。

 藤本氏は今回の国民栄誉賞授与を「ブランド品のバーゲンセールみたい」と例え、「しょせん、首相が人気取りのためにつくった賞だから、長嶋氏はともかく、政治に巻き込まれた松井氏は内心、迷惑だったりしてね」「いっそのこと名称を“国策”栄誉賞と変えたほうが分かりやすい」と皮肉っている。

「夏の参院選をにらんだ安倍内閣の動き」とは、サンケイスポーツに4月2日掲載された記事での政治評論家・有馬晴海氏の発言だ。有馬氏は「支持率は今がマックス(高止まり)といわれており、参議院選挙が予定されている7月まで持たない。そこで、あらゆる手を尽くして支持率を維持したいのでは」「100万円の記念品で支持率が上がる。こんなにありがたい賞はない」などと述べている。

 さらに、国民栄誉賞授与式後には、長嶋氏がバッターボックスに立ち、松井氏が投手、原辰徳監督が捕手、安倍首相が球審という、豪華な顔ぶれでの始球式が行われた。

 この際、安倍首相は長嶋氏、松井氏から手渡された、背番号「96」番の巨人のユニホーム姿で登場。安倍首相は始球式後、背番号について「私が96代(首相)だから『96』なんです」と記者団に話した。しかし、この背番号について、改憲問題で発議要件を定めた96条の緩和先行を掲げている安倍首相が「改憲を意識したのでは」との自民党の中堅代議士の憶測も呼んだと、6日の東京新聞が伝えている。

 好感度アップのために、球審を務めるパフォーマンスまでした安倍首相だが、そのために反感を買ってしまったようだ。

 国民栄誉賞には明確な選考基準はなく、「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったもの」とだけ規定されている。長嶋氏と松井氏は日本野球界を代表する人物であり、受賞するに相応しいといえるだろう。しかし、今回の受賞は多くのメディアや国民に違和感と疑念を抱かせてしまうこととなった。

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総合カルチャーサイト「Real Sound(音楽・映画・テック・ブック)」の運営や、書籍や写真集の発行、オウンドメディアの制作支援など“編集”を起点に様々な事業を行っている。
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