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アベノミクスと黒幕(!?)、JR東海の関係が作用した?

新幹線、官民一体海外商戦の舞台裏…中国は日本の供与技術を特許出願か

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実現しそうでしないリニア
(撮影: Yosemite「Wikipedia」より)

 “丸ドメ(丸ごとドメスティック)”産業の典型である鉄道各社が海を渡ろうとしている。政府が新成長戦略の柱と位置づけるインフラ輸出の1つのアイテムが新幹線である。日本の鉄道ビジネスの国際化といえば、車両をつくる川崎重工業や日立製作所などメーカーが中心だったが、最近は鉄道会社そのものが主役に躍り出てきた。新幹線の輸出をめぐり、犬猿の仲といわれたJR東日本(東日本旅客鉄道)とJR東海(東海旅客鉄道)が競い合っている。

 新幹線の売り込みが有望視されているのがインドだ。インドの高速鉄道計画は09年に発表された。ニューデリーやムンバイなど主要都市間を走る7路線が計画され、2020年までに4路線の事業化を目指す。最優先で整備される予定のムンバイ―アーメダバード間約680キロに、日本勢は新幹線の採用を狙う。実現すれば特急で現在10時間かかるのが、2時間程度に短縮される。

 事業化調査はフランスの企業が受注したが、1兆円規模とされる本工事を落札するために、日本勢は官民一体となって巻き返しに出た。

 12年11月、インドのシン首相と野田佳彦首相(当時)の会談で、日本の新幹線システムの採用を念頭に、両国間で具体的な協議を進めていくことで一致した。

 安倍晋三政権に交代した今年2月、政府はアーメダバードで「インド高速セミナー」を開催。梶山弘志・国土交通副大臣、大橋忠晴・川崎重工業会長、石司(せきじ)次男・JR東日本副社長らが売り込みに熱弁をふるった。

 シン首相は5月下旬に来日を予定しており、日本側は安倍首相との首脳会談で合意の確認を目指すと報じられた。用地買収などに数年かかるため着工時期は未定だが、着工は15年度以降となる見通しだ。

 JR東海はJR西日本(西日本旅客鉄道)、JR九州(九州旅客鉄道)とスクラムを組んだ。07年開業の台湾新幹線は台湾高速鉄路が運営しているが、東海道・山陽新幹線で運行している「700系」をベースとした車両と信号システムを採用している。台湾高速鉄路は日本の新幹線システムの初の海外輸出となった。

 JR東海は台湾新幹線に対し、車両の運行システムや設備の維持管理について、近くコンサルティング契約を結ぶ。JR東海が海外の鉄道会社とこうした業務契約を結ぶのは初めてのケースだ。台湾で実績を積み米国への新幹線の売り込みにつなげる。

 2月の日米首脳会談で安倍首相はオバマ大統領にJR東海のリニア技術の採用を働きかけた。オバマ大統領は関心を示したという。ワシントン―ニューヨーク―ボストンを結ぶ高速の鉄道で、北東回廊(総延長約730キロ)のうち、第1区のワシントン―ボルチモアを結ぶ64キロメートルの建設区間がリニアを導入する最有力候補として浮上している。

 JR東海の葛西敬之会長はメディアのインタビューで、リニア区間がワシントン―ニューヨーク(約370キロ)まで延びることを前提に体制を整えると発言。確かに、ワシントン―ボルチモア間をリニアで走行すると約20分で結ばれるが、リニアは加速と減速に一定の時間がかかるため最高速度500キロで走行する時間は極めて短くなる。葛西会長は「(ワシントン―ニューヨーク間でなければ)時速500キロ・メートルは生かせない」(読売新聞中部版3月6日付)との見解を示した。2027年の開業を目指すリニア中央新幹線(東京―名古屋)よりも米国での営業運転の開始時期が早まる可能性があるとしている。

 JR東日本はインドの新幹線、JR東海は米国でのリニアモーターカーの売り込みで凌ぎを削っている。この両社は中国へ新幹線技術を出すことについて激しく対立。亀裂が深まった。

 川崎重工業とJR東日本による中国への新幹線技術の売り込みに、一貫して反対してきたのがJR東海会長の葛西氏だった。「中国に最先端技術を売ることは国を売るようなものだ」といって猛反対した。

 葛西氏の危惧は的中した。2011年6月末、中国は北京―上海高速鉄道を開業した。世界最速の時速380キロで走行する新幹線車両CRH38OAの技術について中国側は21件の国際特許の出願の手続きを米国などで始めている。中国は日本から供与された新幹線技術を「独自技術」として国際特許を出願したことになる。中国の巨大市場に目がくらみ、安易に技術供与した川崎重工の責任は重い。