私:「紛失や破損した時点での、その国の領域に属する裁判所でいいよね」
相手:「公海上や他国の領空で紛失した場合は、どうなる?」
私:「じゃあ、『紛失や破損が第三者に確認された時点』でどう?」
相手:「第三者をどう定義する? また第三者に悪意があった場合の取り扱いは?」
私が、深夜のオフィスでメールを読みながら 「事故が起こったら、私が自分の給料で弁償するから、もう勘弁してくれ~」と、泣きわめいていたことは、今でも誰にも話していません。
ライセンスがわかりにくくなる理由も、この「借用書」と同じことです。法律用語や独特の言い回しという問題もあるでしょうが、基本的には無視できるほどに発生する可能性が低い事件までも、全部想定して備えてしまうから、ライセンスはわかりにくくなるのです。
■CCライセンスとは何か
CCライセンスとは、簡単にいうと、「ハンコ」です。これまでの著作権法の枠組みでは、「許諾」と「不許諾」の2つの「ハンコ」しかつくれなかったのですが、CCライセンスは、この2つの「ハンコ」の間に存在する、6つの状態の「ハンコ」をつくったもの、と理解していただければよいと思います。
いきなり例題から入ってみましょうか。
私のホームページ(www.kobore.net)には、著作権に関するライセンス表示があります。一行だけですが「内容を一切変更せず、著者を明記する限りにおいて、リンク及び転載は自由です」と記載されています。つまり条件付きライセンスです。
私が、このようなライセンスをつくったのは、
・私の書いた文章を、自分の書いた文章のように変更して掲載している奴
・私の文章を適当に要約して、私の意に沿わない内容に変更して掲載した奴
を見つけて、過去に嫌な思いをしたことがあるためです。ですので、「著者名を記載しない転載は全部禁止!」「要約や翻案も全部禁止!」としてしまいました。
しかし、私は「営利利用」は禁止していません。私の文章を、私の名前付きで、内容を一切変更せずに誰かの本にでも掲載してもらえれば、どこからかコラムの依頼をもらえるかもしれないという周到な打算があるためです。
さて、以上の私のライセンスをCCライセンスで表現するとどうなるか。
これだけです。とっても簡単。文字で、CC BY-NDと記載してもOKです。では、6つの「ハンコ」、6種類のCCライセンスをツンデレ風の表現で紹介を試みます。
上記を見ていただければご理解いただけると思いますが、コモンズライセンスという「ハンコ」を構成する、いわゆる刻印の要素は4種類しかありません。