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ライセンスの絶望的な“面倒くささ”を救済するクリエイティブ・コモンズ・ライセンス

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ライセンスの絶望的な“面倒くささ”を救済するクリエイティブ・コモンズ・ライセンスの画像1筆者提供
 こんにちは、江端智一です。

 前回記事『著作権法やTPPと闘うための最終兵器「ライセンス」は、なぜこんなに“面倒くさい”?』では、「ライセンス」についてご説明しました。

「ライセンス」とは、ある条件を満たす場合、例外なく「例外」を認めるものです。例えば、初音ミクの絵は、日本国著作権法に基づき、例外なく日本国民の誰一人として利用できませんし、その絵をベースとして別の絵をつくることも許されません。しかし、ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)に従う限りは、例外的に初音ミクを使うことが可能となります。

 これをツンデレ風に表現すると、

「か、勘違いしないでよね。ベ、別に、あなただけに『許諾』するんじゃないんだからね」

と一言で表現できる、というお話もいたしました。

 原作者から提供される「ライセンス」には、著作権法の制約に穴を開けて、二次創作を安心して行わせるという素晴らしい効力があるのですが、その半面、内容が難解で、理解するのも大変で、普通の人がホイホイとつくれるようなものではなく、「面倒くさい」ものです。

 それ故、「ライセンス」というものが、どうしてもうまく回ってくれないという現実があるというお話もいたしました。

 しかし、インターネット時代の創作活動を保護していくためには、「ライセンス」問題を避けて通ることはできません。

 さて、今回はこのうんざりするような「ライセンス」問題を、条件付きではありますが、かなりスッキリと解決してくれる、新しいライセンスの考え方「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス」(以下、CCライセンス)についてお話ししたいと思います。

●まず、ライセンスがいかに「わかりにくいか」を理解する

 以前、記事「『初音ミク』長期ブームを支える、販売元クリプトン社の“驚異的な”ライセンス戦略?」において、コンテンツ投稿サイト「ピアプロ」にコンテンツが投稿されたその瞬間に、「ピアプロクリアランス」という、N次創作の許諾の問題を一気に解決する機能が発動する、という話をいたしました。

 では、その「発動」は、どのように規定されているのだろうか。私は、さぞ劇的で感動的なフレーズで記載されているに違いないと思っていました。

 私は、169行からなるピアプロ利用規約(http://piapro.jp/user_agreement/)を、隅から隅まで目を皿のようにして読み込みましたが、どうしても該当する箇所を見付けることができず、結局、クリプトン社の担当者の方に教えてもらうことになったのです。

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ピアプロ利用規約 第11条第6項
会員は、会員コンテンツをアップロードする際にライセンス条件を選択することができるものとし、他会員がライセンス条件の範囲内で会員コンテンツを再複製・再頒布することに合意するものとします。
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 これだけ。たったこの一文が、N次創作問題を解決する「ピアプロクリアランス」を発動させているのです。しかし、この一文から「ピアプロクリアランス」を看破できる人が、日本に一体何人いるでしょうか。

 しかし、クリプトン社は何も悪くありません。むしろ、このピアプロ利用規約は、よく考えられていて、他のものと比べてみれば、相当に読みやすいライセンスであることもわかると思います。

 何が悪いかと問われれば、それはもう「ライセンス」という存在自体が悪いと答えるしかないと思います。

●なぜ、ライセンスはわかりにくくなるのか?

 私事で恐縮ですが、以前海外の会社から製品を貸してもらうことになった時、「借用書(IOU)」を作成したことがあるのですが、この時、私は地獄を垣間見ました。借用する製品(10万円相当)の破損や紛失等により、その責任をめぐって争いになった時、管轄裁判所をどこにするかについて意見が対立したからです。

BusinessJournal編集部

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