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「初音ミク」長期ブームを支える、販売元クリプトン社の“驚異的な”ライセンス戦略?

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筆者提供
 こんにちは、江端智一です。

 前回、記事『初音ミクの画像は勝手に使ってよい? 「初音ミク」の販売元のクリプトン社に聞く』では、「初音ミク」の販売元であるクリプトン社への取材をもとに、『初音ミク』の絵の権利を有するクリプトン社へ許諾の申し入れをすることなく、その絵を自由に使えることを保証する「ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)」についてお話しました。

 しかしその最後で、次のような疑問が残ったままでした。

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--「どうしても、PCLから、「初音ミク」のN次著作【編註:初音ミクを使用した他の人の作品を取り込んで、さらに新しい自分の作品を生み出す、いわゆる「他人の著作に依拠して創作された創作物」】が安心して自由に創成される世界が導き出せないのです」と、泣きを入れた私に、クリプトン社の方は、親切に答えてくれました。

「N次創作は、『ピアプロ』(後述参照)が担保しているのです」

--はい?「ピアプロ」って、「ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)」のことではないのですか?

「違います。『ピアプロ』とは、弊社が開発したコンテンツ投稿サイトのことです」

もう、この辺から、私の混乱の度は、最大級に達するのです。
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※当サイト記事『初音ミクの画像は勝手に使ってよい? 「初音ミク」の販売元のクリプトン社に聞く』(4月16日付)より抜粋

 そこで今回は、上記の「ピアプロ」の私の理解のプロセスと、「初音ミク」ブームを支えるクリプトン社のライセンス戦略について、ご説明します。

●「ピアプロ」とは「文化祭期間中の体育館」である

 さて、まず「ピアプロ」の解説から始めます。

「ピアプロ」というのは、クリプトン社が開発したコンテンツ投稿サイトです。

 投稿サイトというイメージがつかみにくい人もいると思いますので、誤解を恐れずに言い切ってみますと、生徒全員の作品(絵や、彫刻や、手芸)などを展示している、「文化祭期間中の体育館」です。要するに、クリプトン社の常設展示の体育館です(ここでは誰もスポーツができないので、体育館としては機能しませんが)。さらに、この体育館、かなりバラエティに富んでいまして、カラオケボックス、図書閲覧室までが併設されています。

 この「クリプトン社の常設展示専用の体育館」(以下、クリプトン社の体育館)は、北海道札幌市中央区にあるクリプトン本社の隣に建てられている、というわけではなく、インターネットに接続したサーバの中につくられています。この「クリプトン社の体育館」が、「コンテンツ投稿サイト『ピアプロ』」のことです。

 あなたが、自分の作品を展示してもらうためには、以下の条件が必要となります。

(1)「クリプトン社の体育館(=ピアプロ))の入館証を持っていること

 つまり、ピアプロの会員になることが必要です。これはクリプトン社のホームページから簡単に入会できます。これで「体育館」に自由に出入りでき、作品を自由に楽しむことができるようになります。

(2)「クリプトン社の体育館(=ピアプロ)」に、インターネット経由で自分の作品を持ち込むこと

 自分の作品を「ピアプロ」のサーバにアップロードすることで、作品を持ち込みます。つまり、パソコン上でつくられたもの、加工されたものであって、ファイルとして転送できるもの(電子情報財)に限定されるということで、自分自身で「サーバに持ち込むこと」が必要となります。これを「アップロード」または「投稿」と言います。