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慶應幼稚舎~慶應大学まで学費「計2500万円」はコスパ悪い?安い買い物?

文=Business Journal編集部、協力=石渡嶺司/大学ジャーナリスト
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慶應義塾幼稚舎(「Wikipedia」より/Harani0403

 私立小学校である慶應義塾幼稚舎に入学しエスカレーター式で慶應義塾大学まで上がると、大学卒業までに学費が総額2500万円かかるという情報をめぐり、SNS上では「コスパ悪い」「慶應ブランドが手に入るなら安い」などと“議論”を呼んでいるようだ。果たして、それだけの費用をかけて小学校から慶應系列に通う/通わせるメリットはあるのだろうか。専門家の見解を交えて追ってみたい。

 早稲田大学と並ぶ国内最難関私立大学であり、抜群の就職実績を誇る慶應義塾大学。数多くの大手企業トップ、小泉純一郎氏や故・橋本龍太郎氏など首相経験者を含む政治家を輩出し、経済界で強固な結びつきを誇るOB・OG組織の三田会を有するなど、「慶應卒」という肩書が持つブランド力と魅力は誰もが認めるところだ。

 そんな慶應系列の小学校、慶應義塾幼稚舎は極めて狭き門であるとともに、「コネがなければ入れない」という話もささやかれるほど受験の実態は謎のベールに包まれている。2024年度の1年生の募集人数は男子96名、女子48名の合計144名。入試ではペーパー試験はなく、運動・行動観察・絵画のテストが行われることまでは知られているが、小学校受験対策スクールの関係者はいう。

「有名私立小学校にもコネが重視される学校とそうではない学校があり、慶應幼稚舎は前者、同じ慶應系列でも慶應義塾横浜初等部は後者であり、試験の結果で合否が決まります。慶應幼稚舎受験におけるコネとは、父親や祖父が慶應幼稚舎から慶應大学まで上がったOBで、かつ大企業社員などステータスがある職業に就いているというパターンがもっとも強いです。中学や高校から慶應に入って大学を卒業したというケースも加点要素になり、大学から入った人でも勤務先が慶應連合三田会の大会のスポンサー企業であったり、個人で三田会の幹事を務めた経験があったりと、なんらかのかたちで三田会に貢献した実績もコネありとみなされます。

 こうしたコネがない場合、慶應幼稚舎に事実上の推薦枠を持っているといわれている御三家と呼ばれる私立幼稚園に入ることも、広義の意味でコネとなりますが、入園するには推薦状が必要なため、誰でも入れるわけではありません。

 コネではなく実力で合格するには、慶應幼稚舎の合格実績が高い幼児教室や体操・絵画教室に通うのが近道となりますが、有名な幼児教室は0歳から通うことも珍しくなく、小学校受験までにトータルで1000万円ほどかかることも覚悟しなければなりません。ですので首都圏に在住で経済力の高い世帯でないと難しいということになります。

 一部では『学校へ寄付する寄付金の額が高くないと入れない』という話も広まっていますが、慶應幼稚舎に限らず有名私立小学校の入試では寄付金の有無は基本的に合否には影響しないと考えたほうがよいです。慶應幼稚舎の男子の入学者数は例年100名ほどですが、仮に『1億円寄付すれば息子を慶應に入れられる』となれば、全国でそれくらいの額をポンと出す人は多数におよび収拾がつかなくなりますし、名門私立の系列校は何よりブランドを重視するので、おカネという要素が入試での合否に入り込むことは基本的にはありません」

慶應系列の中学校と高校

 慶應系列の中学校としては男子校の慶應義塾普通部、共学校の慶應義塾中等部、共学校の慶應義塾湘南藤沢中等部の3つがあり、慶應幼稚舎の大半の生徒は普通部か中等部へ進み、一部の生徒は湘南藤沢に進む。また、慶應横浜初等部の生徒の大半が中高一貫校の慶應湘南藤沢に進む。

 慶應系列の高校としては男子校の慶應義塾高校、男子校の慶應義塾志木高校、慶應義塾女子高校、共学校の慶應義塾湘南藤沢高等部の計4つあり、普通部・中等部の生徒の大半は慶應義塾高校に進む。そして系列4高校の生徒の大半が慶応義塾大学に進学することになる。

「幼稚舎から普通部、塾高と呼ばれる慶應義塾高校、慶應大学へ進むルートが王道とされており、幼稚舎で平均以上の成績を収めていれば自動的に普通部に進学できます。ただ、中学、高校では一般入試で熾烈(しれつ)な受験戦争を勝ち抜いて入ってくる生徒と机を並べることになるため、世間の想像以上に学校での勉強は厳しい。特に中学では留年する生徒が出ることもあります。また、慶應横浜初等部は幼稚舎と比べて歴史が浅いため、慶應全体の足を引っ張らないようにしなければならないという意識が強く、幼稚舎よりも勉強が厳しいと評判です」(同)

 そんな慶應で、もしエスカレーター式に幼稚舎から大学まで進学すると学費はいくらかかるのか。一例として以下のケースで計算してみると総計2037万円となる。

●慶應幼稚舎
 初年度納付金合計 1,660,000円
 在学生納付金合計 1,320,000円
 6年間合計     8,260,000円

●慶應普通部
 初年度納付金合計 1,465,000円
 在学生納付金合計 1,125,000円
 3年間合計     3,715,000円

●慶應高校
 初年度納付金合計 1,341,000円
 在学生納付金合計 1,001,000円
 3年間合計     3,343,000円
 ※東京都在住者の授業料は一部無償

●慶應義塾大学(法学部)
 初年度納付金合計 1,413,350円
 在学生納付金合計 1,213,250円
 4年間合計     5,053,100円

●総計       20,371,100円     

 これに加えて修学旅行などの各種学校行事や部活動などの費用を加えると、2500万円くらいになると推計される。

慶應幼稚舎から通うメリット

「慶應卒」というステータスを得るために、このレベルの金額がかかるというのは、高いといえるのか、安いといえるのか。中学受験塾関係者はいう。

「慶應クラスの難関中学を受験する場合は日能研やSAPIXなどの大手進学塾に通うことになるのが一般的であり、小学4年生から通うと300万円、1年生からだと400万円はかかるとみておいたほうがよいです。もし仮に公立小学校から慶應系列の中学校に進学すれば、大雑把にいって慶應幼稚舎に通うより400~500万円ほど安く済むことになる。

 また、小学校から高校まで公立校に通って、その間に塾や予備校に通わずに慶應大学に入れば大学学費だけで済むので、かなりリーズナブルということになる。

 よって、絶対額でみれば大学から入るのがもっとも安く、次に高校、中学と続くことになるが、幼稚舎に入ってしまえば厳しい受験争いを経ずにエスカレーター式に中学・高校・大学へと上れるので『2500万円でもコスパが良い』という考えも、一つの捉え方でしょう」

 大学ジャーナリストの石渡嶺司氏はいう。

「お金をかけてでも慶應幼稚舎から通うというのは、親のプライド、人間関係づくりという点でメリットがあります。親からすれば“オール慶應”というだけで他の親に対してマウントを取れるわけで、その点を魅力と考える親が一定数いることは事実です。子ども本人については、人間関係づくりという点は大きなメリットです」

 では、大学から慶應に入るのと、幼稚舎から慶應大学に上がるのとでは、何か違いが生じるのか。

「就職という点だけ見ると、若干の差しかありません。大学から慶應だと、企業からすれば優秀な人材と考えて採用の是非を検討します。幼稚舎からだと、それだけ富裕な家庭出身であることが推察できますし、その点に注目する企業もあるでしょう。

 人間関係という点では幼稚舎から入った場合、付き合う期間が長い分、強い人間関係を構築することができます。慶應の卒業生組織である三田会は日本でもトップクラスの結束の強さを誇ります。地域や大企業・職種ごとに支部が設置されているのは三田会くらいです。その三田会のなかでは『大学のみ慶應の人』より『幼稚舎から慶應の人』のほうが格上となっています。この点に価値を置くのであれば、学費2500万円は安い買い物だと考える人はいるでしょう」

 慶應卒の大手電機メーカー管理職はいう。

「2500万円払うほどの価値はないと思います。大企業に入れば早慶出身者だらけですし、外資系のコンサルティング会社や金融機関では早慶出身者なんて底辺という扱い。幼稚舎から慶應なのか大学からなのかなど、誰も気にしないし、結局は仕事ができるかどうかだけで評価は決まるので、メガバンクなど一部の業界を除けば学歴は関係ない。地方の大学でも国立大学出身者に対する大企業側の採用意欲は高いので、地元の公立高校から国立大学に行って大企業に就職するか、もしくは国公立の大学医学部に入って医師になるというのが、生涯年収も考慮した上でのコスパという面では一番良いでしょう」

(文=Business Journal編集部、協力=石渡嶺司/大学ジャーナリスト)

石渡嶺司/大学ジャーナリスト

石渡嶺司/大学ジャーナリスト

編集プロダクションなどを経て2003年から現職。扱うテーマは大学を含む教育、ならびに就職・キャリアなど。 大学・就活などで何かあればメディア出演が急増しやすい。 就活・高校生進路などで大学・短大や高校での講演も多い。 ボランティアベースで就活生のエントリーシート添削も実施中。 主な著書に『改訂版 大学の学部図鑑』(ソフトバンククリエイティブ/累計7万部)など累計31冊・65万部。

Twitter:@ishiwatarireiji

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