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「初音ミク」長期ブームを支える、販売元クリプトン社の“驚異的な”ライセンス戦略?

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 ですから、クリプトン社に、自分の絵画や彫刻や、あるいは自分の歌をカセットテープに録音したものを送りつけても、受理してもらえません。

「クリプトン社の体育館」、つまり「ピアプロ」に展示されている作品は、バラエティに富んでいて華やかで楽しいです。

 まず、絵画は当然として、音楽、小説(これらは、まとめて「コンテンツ」と呼ばれます)など、パソコンのファイルとして取り扱えるコンテンツであれば、動画以外はほとんど投稿できます。

 例えば、「小説」なら、「初音ミク」を主人公とした恋愛小説だけでなく、冒険、推理、SFなど、公序良俗に反しない限りはなんでもOKです。さて、その中でも、ちょっと珍しいコンテンツとして、「歌詞だけの出品」とか、その逆に「歌詞の付いていない楽曲だけの出品」などという、未完成であることを表明した作品の投稿が挙げられます。

 これは、「コンテンツ投稿サイト『ピアプロ』」の特徴を説明する上で、極めて重要なことなので覚えておいてください。

●ピアプロに投稿できない作品

「公序良俗」に反するものは、ピアプロに投稿できません。

 第一に、道徳観に反するもの、猥褻なもの、嫌悪感を催させるものを投稿することはできません–といっても、まあ、成人向け同人誌の作者の中には、「これは『エロ』ではない。『愛』だ」と主張する人もいるようですが、最終的には「ピアプロ」の管理人が必要に応じて削除してしまうと思います。

 第二に、法律に違反する作品を投稿することはできません。

 例えば、「他人の著作物に依拠して創作された著作物のうち、当該他人の許諾を得ていないもの」を投稿することはできません。著作権者に「ピアプロに投稿・第三者に開示すること」の許諾を得ていないドラえもんやワンピース、ポケモンを使った作品は、即時アウトです。

 では、著作権的に適法な作品とは、どのようなものでしょうか。

 もちろん、あなたが他人の著作物を利用せずに、すべて100%オリジナルの作品であれば、完全に適法な作品です。

 また、「初音ミク」を利用した作品も適法です。前回、ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)について説明した通り、公序良俗に反しないで非営利であれば、「初音ミク」を翻案し、または二次的利用した作品は適法です。

 しかし、PCLは、別に「クリプトン社の体育館」つまり「ピアプロ」の中だけで有効であるというわけではありません。日本中、いつでもどこでも有効で、YouTubeやニコニコ動画に投稿しようが、まったく問題ありません。

●「ピアプロ」に投稿するメリットとは?

 では、わざわざ「ピアプロ」に投稿することのメリットとはなんでしょうか。

 まず一つには、初音ミク等以外にも、自由に使えるボーカロイドキャラクター(音声合成ソフトウェアパッケージの箱に描かれているキャラクター)たちがたくさんいるからです。

 私が初めてボカロを体験した「結月ゆかり」、歌手で俳優のGACKTさんが音声を提供した「神威がくぽ」ほか、実に、35人のキャラクター【註1】を、「ピアプロ」の中であれば自由に使ってよいことになっています。ですから、この「結月ゆかり」と「神威がくぽ」の2人を主人公とした恋愛小説も、2人の結婚式のイラストも、2人がデュエットしている歌をつくって投稿してもOKです。

 仮に、このキャラクターリストの中に「サザエさん」が入ってくれば、当然に「サザエさん」のキャラクターも自由に使えることになるのですが、まあ、ありえないだろうと思います。長谷川町子財団に、このような使用許諾をするメリットがないからです。

 比して、コンテンツ投稿サイト「ピアプロ」は、クリプトン社には大きなメリットがあります。クリプトン社にとって、「PCL」と同様に、「ピアプロ」は初音ミクの最大の広告宣伝の場になるからです。

●前回の「ピアプロ・キャラクター・ライセンス(PCL)の限界」を復習する

BusinessJournal編集部

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