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石渡嶺司「大学・キャリアのぶっちゃけ話」

就活時期後ろ倒し、得/損する大学…慶応は得で、早・上智は損?

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東京大学(「Wikipedia」より)
 大学、就職、転職の分野に精通し、『バカ学生に誰がした?』(中公新書ラクレ)、『なぜ学生の9割は就活に疲れるのか』(主婦の友社)などの著書を持つ大学ジャーナリスト・石渡嶺司が、検討が進む大学新卒入社の就職活動後ろ倒しがもたらすさまざまな影響について解説します。  

 今回は就活後ろ倒しで得する大学、損する大学がテーマです。

 これまで就活後ろ倒しを取り上げてきた論客のコラムを拝読すると「難関大は得をして、それ以外は損をする」という論調が多数でしたが、どうでしょうか? 今回は後ろ倒しによって、どの大学学部が得をして、逆にどこが損をするのかを予測してみます。(なお、当コラムの予想は就活支援の現状などを取材したうえでの予測です。現状と異なる場合は、現状を優先します)

(1)大きく得する大学

 東京大、一橋大、慶応義塾大の文系学部、国際教養大、早稲田大国際教養学部、法政大グローバル教養学部・関西学院大学国際学部など難関大の国際系学部

<解説>
 難関大が得するのは言うまでもありません。特に首都圏にある東京大、一橋大、慶応義塾大。この3大学は就活時期がいつになろうとも、そんなに影響はないでしょう。最難関のプライドありの東京大、意識高い系の元祖で東大に追いつけ追い越せの一橋大、大学の就職支援は何もなくてもOB訪問は5〜10人やって当たり前の慶応義塾大。それぞれ個性は違いますが、この辺は安泰。

 最も恩恵を受けるのが、留学することが前提となっている難関大の国際系学部。特に国際教養大。現状でさえ人気企業が学内説明会を開いていますが、さらに人気化する可能性があります。

 これまでの就職スケジュールだと、大学4年4月に選考開始。大学3年3月~4年5月ごろに帰国する留学経験者は、就活スケジュールに乗ることができず、1年留年することを余儀なくされていました。後ろ倒しによって大学4 年8月選考開始に変わると、留学経験者も十分に間に合います。国際教養大以外でも早稲田大国際教養学部、法政大グローバル教養学部・関西学院大学国際学部などは現状以上に大きく伸びる可能性があります。

 難関大の国際系学部、特に留学経験者に対しては現状でもこっそり優遇されています。留学者が帰国する5~6月にピンポイントで学内説明会兼選考会を開催します。ピンポイントとは、難関大全体にではなく国際系学部のみというかたちで、加えて留学経験者(大学によっては長期の海外ボランティア・海外渡航などを含む)限定され、ここで結構順調に採用が決まっていきます。まして後ろ倒しになれば、グローバル人材を欲しがる企業の思惑もあって、さらに得をすることでしょう。

 さて、この「大きく得する大学」に難関大の早稲田大、上智大が入っていませんが、その理由はのちほどご説明します。

(2)そこそこ得する大学

 東京大以外の旧帝大、関東・関西にある公立大(首都大学東京、横浜市立大、大阪府立大、大阪市立大など)

<解説>
 東京大以外の旧帝大は就活時期が変わっても欲しがる企業が多いのと、学力の高さ、国立大ゆえに人数が私立大ほど多くないために希少価値がある、などの理由で損することはないでしょう。これは関東・関西にある公立大も事情は同じ。

 京都大、大阪大は関西基盤の企業が強く欲しがります。それに就職の情報も入りやすい、ということで東京大、一橋大などと同じく、大きく得する可能性もあります。

 一方、北海道大、東北大、九州大は地方というハンデで損する可能性があります。ただ、大学3年12月→3月という広報活動開始時期の移動で、3カ月すかっと空きます。この期間にリクルーターなどを使った採用活動を企業が進めれば、地方というハンデもなくなります。

(3)中立

 就職支援やキャリア教育に熱心な地方国公立大(北九州市立大、岡山大、福岡女子大など)、MARCH(明治大、青学大、立教大、中央大、法政大)クラスの文系学部、日東駒専・産近甲龍クラス~中堅以下の私大で就職支援に熱心な大学、学生にきちんと勉強させる地方私大(共愛学園前橋国際大、宮崎国際大など)、立命館大

<解説>
 就職支援やキャリア教育を熱心にやっている地方国公立大であれば、今回の後ろ倒しにも冷静に対応するに違いありません。