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「ダイヤモンド」vs.「東洋経済」! 経済誌双璧比べ読み(9月第3週)

アップル人気に陰り!?iPhone失速で減益続く…中韓勢台頭で激変するスマホ市場

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「Thinkstock」より
 「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/9月21日号)は「アップル再起動&電子部品サバイバル」というスマホ(スマートフォン)業界特集を組んでいる。「スマホ時代を開拓したアップルも、最近はライバルの勢いに押されぎみ。グローバル競争が熾烈になる中、電子部品メーカーも生き残る道が問われている」という内容だ。

 米アップルは9月10日、iPhone 5の後継機種を発表した。機能を向上した「5s」と、さらに価格を抑えた廉価版の「5c」だ。すでに20日から9カ国で発売が始まっている。

 2007年に初代iPhoneを発売してから、iPhoneのバージョンアップは今回で7回目。年間1億台以上出荷されている人気商品だが、最近はその人気に陰りが出ている。スマホの世界シェアトップは韓国サムスン電子(サムスン)。米国など先進国では、スマホ需要が一巡している上、サムスンのギャラクシーなどアンドロイド端末が台頭。新興国では中国・華為技術(ファーウェイ)など新規参入も盛んで、低価格競争が加速。アップルは苦戦を強いられ、直近決算の13年4~6月期の売り上げは前年同期比0.8%増、営業益は同20.4%減と、2四半期連続で減益となった。

 驚異的な高収益にも陰りが見える。iPhone・iPadの販売台数は増えているものの、採算の低いiPad miniなどの販売比率が増えていることから、4~6月期の粗利率は36.8%と、前年同期の42.8%から低下しているのだ。

●腕時計型端末をアップルに先行して発表したサムスン

 同特集において、アップルを取り巻く脅威をいくつかの視点で紹介している。

 まずは、アップルを上回る世界ナンバー1シェアのサムスン。9月4日のドイツ・ベルリンでの欧州最大の家電見本市IFA2013で、腕時計型の情報端末「ギャラクシー・ギア」を発表。アップルに先駆けての発表で、キャッチアップ型の経営からイノベーション企業への転換を見せつけた(特集記事「ウエアラブル端末で先手 新興国スマホがシェア侵食 王者サムスンは逃げ切れるか」)。

 次に、中国のパソコン専業メーカーとして急成長したレノボだが、スマホ分野においても、中国国内のシェアはサムスンに次ぐ2位、世界シェアでは4位と存在感を増している(特集記事「アップル、サムスンの新たなライバル 中国『レノボ』がスマホでも大躍進」)。レノボの戦略は、先進国ではなく新興国に狙いを絞っている。

 そして、日本の話題といえば、20日から開始となったNTTドコモ(ドコモ)のiPhone発売だ。特集記事「大苦戦続く日本の“ガラスマ” NECとパナは戦線離脱 次はシャープか富士通か」によれば、ドコモのiPhone発売を複雑な思いで見ているのは、国内携帯端末メーカー。特に今冬、各社の3機種を重点販売する「スリートップ」体制を敷くと見られていたソニー、シャープ、富士通の打撃は計り知れない。スマホ分野での日本勢は、世界シェアわずか4%で6位にソニーが食い込むやっとで、競争力の欠如は明らかだ。このほかのメーカーは、国内市場で食いつなぐことで精一杯だ。「日本勢は従来型で最先端の技術力への過信や安定的な収益への安住によりスマホ移行に遅れた」のだ。

 しかし、これは日本だけの問題ではない。

 「10年前に従来型で世界トップだったフィンランドのノキアは、携帯端末部門の米マイクロソフトへの売却を決めた。2位だった米モトローラの同事業は、グーグルに買われている。スマホ黎明期に人気を博したカナダのブラックベリーは身売り先を探している」現状なのだ。東洋経済は「スマホは中国製の激安製品が増えつつあり、テレビやパソコン同様、利益を上げるのが難しいコモディティ化が始まっている。国内勢は、スマホの次を見据えるべきかもしれない」と提案する。

 スマホメーカーとしての日本企業の薄い存在感の一方で、スマホ端末に使用される部品は、日本製の比率が高く、中身の半分以上が日本製だ。特集記事「ウエアラブル端末も続々登場へ どうなる日本の電子部品」を読めば、少しは前向きになれるかもしれない。

 なお、アップルの次の展開は時計型デバイス「iWatch」だという。「今年春、アップルは日本やロシアなど複数の地域で『iWatch』の商標を登録した」。このため、来年にも発売の可能性があると見られている。
(文=松井克明/CFP)