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スーパーも参入で過熱する“カフェ戦争”〜勢力図変えたセブン、押される専門店や缶商品

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「Thinkstock」より
 集客のためにカフェを導入する小売店が増えている。コンビニエンスストアは淹れたてコーヒーを店頭で売り始めた。

 そして今度は、スーパーが“カフェ戦争”に参戦した。スイスに本社を置く世界最大の食品メーカー・ネスレの日本法人、ネスレ日本は、スーパーの店内に設ける小型カフェを年内に500店にする。同社がコーヒー用の粉末を供給し、スーパーが運営する。名称は「カフェ ネスカフェ」。スーパーのパン売り場や休憩所などの一角に4平方メートルのカウンターを設ける。

 ネスレ日本は社員からの提案に基づき、昨年12月、秋田県のスーパーに「カフェ ネスカフェ」1号店を開設したのが始まり。1日の販売が100杯を超える店も多く、十分に手応えがあったことから、3月、全国のスーパー250店でカフェコーナーをオープンする方針を打ち出していた。さらに、スーパーの要請を受け、出店を一気に倍の500店に増やすという。

「カフェ ネスカフェ」は東京・原宿と神戸市、福岡市に独立した店舗を持っているが、出店コストがかからない小型店をスーパーの店内に大量出店する。価格はコンビニの淹れたてコーヒー並みの1杯100円から180円前後とする。

●イオンはフルサービス展開

 イオンは今年中に、首都圏や関西圏の総合スーパー(GMS)やショッピングセンター(SC)に喫茶店10店を出店する。店名の「コウアン」には幸福、香りなどの「コウ」の意味合いを込めた。アンは庵(いおり)である。イオンが「グランド・ジェネレーション」(最上の世代)と呼ぶ55歳以上の中高年を主な顧客に想定している。

 イオンはこれまでセルフ式カフェをGMSやSCのテナントとして取り込んできたが、イオン自身が喫茶店を運営するのは初めて。フルサービスの喫茶店を展開し、セルフ式カフェとの違いを明確に打ち出す。5月末にイオン葛西店(東京・江戸川)に1号店を出店した。中長期的には、ロードサイドに店を出すことも検討している。

 東海地区が地盤のコメダ(名古屋市)がフルサービスの喫茶店として、シニア層や主婦層の支持を得ている。イオンの喫茶店「コウアン」は、コメダ珈琲店を意識した店づくりをしている。

●カフェ戦争の口火を切ったコンビニ

 流通業のカフェ参入の口火を切ったのは、コンビニである。客が自らレジの横に置かれた機器にカップをセットしてボタンを押すと、缶コーヒー並みの価格で本格コーヒーが味わえるとあって売り上げが伸びた。先行したのはサークルKサンクス。「淹れたてコーヒー」と銘打ち、4年前から取扱店を増やしてきた。1杯の価格は130円。

「マチカフェ」の名前で参入したローソンは、14年2月までに全1万店中5000店に導入。1杯180円で淹れたてコーヒーを販売している。ファミリーマートも14年2月までに全9500店に150円の「あじわいファミマカフェ」を展開する。

 今年1月、最後に参入したセブン-イレブンがコンビニカフェの勢力地図を一変させた。名称は「セブンカフェ」。店内のオリジナル専用機器で提供するセルフ式のドリップコーヒーが売りである。先発のコンビニの営業スタイルを研究し、味、価格だけでなく佐藤可士和氏のデザインを採用、あらゆる面で徹底的に差別化を図り参戦した。

 これまでは圧力をかけて抽出するエスプレッソ方式が主流だったが、セブンはより日本人の嗜好に合わせてドリップ方式を採用。コーヒー豆は高級アラビカ種。これを1杯100円という低価格で販売した。セブンは7月18日、「『セブンカフェ』の累計販売数が早くも1億杯を突破」とニュースリリースした。今年1月から順次導入し、現在1万2500店で販売している。

 セブンカフェは現在、1日1店舗当たり約83杯の販売数で推移しており、年間販売目標は4億5000万杯を見込んでいる。セブンで販売する食品の中でも最も高いリピート購入率55%以上を達成した。購入者の約半数を女性が占めている。

 参入してわずか半年で、セブンカフェは一大コーヒーショップとなったわけだ。1杯100円というワンコイン効果が大きかったとの見方もある。先行していたサークルKサンクスは6月、130円の価格を100円に値下げして対抗。値下げしたことにより売り上げは倍増したという。一方、ローソンとファミリーマートは「100円戦争」に加わらず、それぞれ180円、150円の価格を据え置いたが、セブンの衝撃を受け、値下げは時間の問題との見方が強い。

 コンビニが、こだわりコーヒーを強化する背景には、喫煙率低下に伴うたばこの販売減がある。淹れたてコーヒーを買った人は、リピート率が高く、パンや菓子など「ついで買い」をする。たばこの販売減を穴埋めする以上の効果があった。

 また、全日本コーヒー協会の調査では、コンビニで淹れたてコーヒーを買った人のうち3割近くが「専門店の持ち帰りコーヒーや缶コーヒーを買う機会が減った」と答えた。

 これまで、ドトールコーヒー、スターバックスコーヒー、タリーズコーヒーがセルフ式カフェの“御三家”だった。日本マクドナルドホールディングス、モスフードサービスのハンバーガーチェーンに続いて、コンビニ、スーパーがカフェビジネスに相次いで参入し、“カフェ戦争”は戦国乱世に突入した。

【カフェ・喫茶店の店舗数】
店舗名            運営会社           店舗数
ドトールコーヒーショップ  ドトールコーヒー        1097店(7月末時点)
スターバックスコーヒー   スターバックスコーヒージャパン 949店(7月末時点)
タリーズコーヒー      タリーズコーヒージャパン    513店(4月末時点)
コメダ珈琲店        コメダ             497店(5月末時点)
(文=編集部)