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消費増税、4月から数カ月「景気の空白」懸念?消費動向調査と住宅着工件数から分析

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「Thinkstock」より
 3月になると、さまざまな人生のイベントが待っている。学生にとっては卒業シーズン。一部の社会人にとっては、就職・異動などに伴う引っ越しのシーズンである。しかし、多くの人にとって、今年の3月は特別な月になるはず。4月からの消費税増税前だからだ。

 1997年の5%への増税以来だから、実に17年ぶりの増税だ。当時は景気が回復していない時の増税で、さらにアジア通貨危機もあって急速に景気が冷え込み、日本経済や国民の生活に大打撃を与えた。

 アベノミクスで浮かれ気味の日本経済において、今回の消費税増税がどのような影響を与えるかは、日本国民の生活に直接響くため、決して他人事ではないだろう。今回は、さまざまな指標を使って、増税後の動きを予測してみよう。

 まず、昨年10月にインターネット調査会社マクロミルが行った「消費税に関する調査」をみてみよう。景気の「気」は気分の「気」といわれるように、景気を左右するのは消費者の気持ちだ。消費者が増税をどのようにとらえているかを知ることで、景気を予測することもできる。本調査によれば、4月の増税後「節約する」と答えた人は68%だった。かなりの人が増税をネガティブにとらえている。

 また、昨年10月に安倍晋三首相が増税を発表した後、消費者のマインドがどのように推移したかがわかる指標もある。同社が毎週発表している定点観測調査「MACROMILL WEEKLY INDEX」の「景気」では、これから景気が良くなるかどうかという景況感がグラフ化されている。

 これによれば、10月の増税発表直後に急落、つまり景気が悪くなると思う人が増えた。しかし、その数は12月まで緩やかに上昇し、今年に入り下降し続けている。これは何を意味するだろうか。

 答えはずばり、「駆け込み需要」である。消費税増税前に、買えるものは買っておこうという消費者マインドが動き始め、さらに売り手も「増税前キャンペーン」を展開したため、一時的に消費マインドが高まったのだ。

 ここで再び前出の「消費税に関する調査」を見てみる。「何を節約したいか」のトップが「日々の食費・飲料費」(69%)だった。では実際に現在どうなっているかを「MACROMILL WEEKLY INDEX」の「買う予定のもの」>「家族との外食」で見てみると、2月からずっと上昇している。これも駆け込み需要とは無縁ではないだろう。

 さらに、「消費税に関する調査」では、増税前に買いたいものランキングで「家電製品」が49%でトップとなっているが、実際どうなっているか。

 日本電機工業会(JEMA)の発表によると、今年1月の民生用電気機器(白物家電)国内出荷実績は前年同月比34.7%増の1772億円となり、1月としては97年以降最高となった。事前の消費者調査通りのことが、現実に起こっているのである。

●経済への影響大きい住宅購入

 そして、日本経済を占う上で最も注目したいのは、住宅着工件数と受注件数である。住宅の購入は景気に左右される。いや逆に景気を左右しているといってもいいだろう。

 人の一生のうちで最も高額な買い物は住宅である。住宅を現金一括で買う人はほとんどおらず、高額な住宅ローンを組んで購入するケースが一般的だ。さらに、住宅を建てることで、家具や家電、自動車の購入などの消費も起こり、経済に対する波及は大きい。

 国土交通省は13年の新設住宅着工戸数が前年比11%増の98万25戸で、4年連続で増加したと発表。昨年12月の住宅着工件数は前年同月比18%増で、実に16カ月連続で増えた。駆け込み需要もあるが、これだけ見れば順調に景気は回復しているように見える。

 ところが、ここに錯覚がある。住宅は「受注」してから「着工」するまで数カ月のギャップがある。現在建てられている住宅の多くが、昨年9月までの駆け込み受注の住宅なのだ。「受注件数」でいえば、住宅大手4社の受注額は昨年10月から12月まで3カ月連続で前年割れしている。この影響が4月の増税以降に出てくるのはいうまでもない。

 住宅着工件数が減少することによる経済への影響は大きく、さらに増税がそれに拍車をかける。4月以降、数カ月は景気が下降することは十分予測できる。

 ただ楽観的な予測もある。住宅大手の住宅展示場への来場者数は1月から増加傾向にある。増税対策としての「住宅ローン減税」と「すまい給付金」の認知度が上がってきたからであろう。しかし、再び住宅着工件数が増えるまでには数カ月が必要で、景気の空白が生まれるのは避けがたい。

 昨年10月に安倍首相が消費税増税を発表した後、「すまい給付金」を含めた5兆円規模の増税対策を政府が発表したのが12月である。この2カ月のギャップが大きなマイナスの影響を与える可能性も高い。アベノミスクは、わずかな政府の判断の遅れが命取りになりかねないのだ。
(文=鈴木領一/ビジネス・プロデューサー)

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