自販機、なぜ小額硬貨対応しない?意外に合理的な理由?自販機メーカーさんに聞いてみた
この連載企画『だから直接聞いてみた for ビジネス』では、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問(?)を、当事者である企業さんに直撃取材して解決します。今回は放送作家の鮫肌文殊氏が、消費増税で気になる自動販売機の小額硬貨対応にまつわる疑問について迫ります。
【今回ご回答いただいた企業】
富士電機コールセンター様
4月から消費税が5%から8%に上がる。さらに来年には経済動向を睨みながら再度値上げし10%にするという。「いつの間にそんなこと決めたのだ?」と言ったところで、一度決まったものは仕方あるまい。とりあえず、4月1日から一斉に上がる消費税。国民の義務として渋々でも払わなくてはならない。
今度の消費増税で、価格への転嫁をどうするかで、いろんな業界が悩んでいるようだ。例えば、日本コカ・コーラは自販機の商品の10円値上げを決定。「それって、8%以上取ってるのでは……」という疑問の声には、「いえいえ、その分、ミネラルウォーターなどは価格を据え置きますので」と、商品価格を全体的にならしたらちょうど3%上がってるように調整するらしい。
そんな中、まさかの値下げを発表したのが、牛丼チェーンのすき家。「みなさんが値段を上げるのであれば、うちは看板商品の牛丼を逆に10円下げさせてもらいます」と、ここで消費者に「やっぱり安いすき家」を思いきりアピールする戦略に出た。これ、なかなか頭良いなあ。ニュースでもたくさん取り上げられて、広告費に換算すると、もうすでに元はとっているかもしれない。こういうのは一番初めにやったもの勝ち。
さて、本題に入るが、消費増税の話が出るたびに思うのだが、そもそもなぜ自販機では1円玉とか5円玉が使えないのだろうか。それさえできればオールオッケーな話ではないのか? コカ・コーラも「実質値上げ」などと批判を浴びずに済むはずだ。
だから直接、自販機メーカー大手・富士電機のコールセンターさんに聞いてみた。
「自販機って、なぜ1円玉や5円玉が使えないのですか?」
担当者 そこはなんといいますか、事業の方針といいますか……。
–先ほど飲料メーカーさんに問い合わせしたのですが、機械をつくっているのは別の会社なので、そちらに聞いてくれと言われまして。もしわかる方がいれば教えていただきたいのですが。
担当者 そうですね、その経緯というか、そうなった過程がわかる者はちょっといないと思うのですが……。強いて言うならば、1円玉のような小額硬貨に対応させると、それだけ自販機のお釣りが出る口のところが大きくなりますので、省けるのなら省くという判断が働いたとは思うのですが……。
–なるほど。技術的には可能なのでしょうか?
担当者 そうですね、あとは硬貨の判別の部分ですが、追加で2種類分の判別機能を付けるとなると、そこの部分もスペースを取ってしまいますので。