王将の餃子、注文後わずか7秒で出てくる見込み焼きとは?
(「餃子の王将HP」より)
人気放送作家の鮫肌文殊氏と山名宏和氏が、知ってトクもしなければ、自慢もできない、だけど気になって眠れない、世にはびこる難問奇問を直撃解決!する連載「だから直接聞いてみた」。月刊誌「サイゾー」で連載されていた同企画(宝島社より単行本となって発売中!)が、ビジネスジャーナルにて復活!
今週は、林賢一氏が、あまりに早く出てくる餃子の王将の餃子について、不安を感じるあのことをぶつけてみた!
[回答者]王将フードサービス 様
一人で外食をする場合、注文してから料理が出てくるまでの時間というのは、人生のエアポケットである。
基本的には食事をしに行っているわけで、待ち時間はすることがない。いわば人生の中で必要のない無駄な時間である。もちろん、数分なら呆然としていれば待てる。だが。待てない時間もある。例えば、これくらいならどうだろう。
『一人で食事に行き、58分待たされる』
きつい。
下手すると、自分で作った方が早い、なんてことになりかねない。なんなら1時間バイトできる。しないけど。
そんなエアポケットを埋めるために、一人での外食時は文庫本を忍ばせておかないと落ち着かない。こればかりは癖だから仕方ない。
その逆で「あまりにも待たされない」というのも不安である。
注文した瞬間に料理が出てくるパターンである。
「作り置きか?」
そんな疑念が頭をよぎる。
最近、餃子の王将に行き、餃子を注文した。どれくらいで出てくるのか、と思ったその瞬間だった。注文してから7秒後の出来事だった。笑顔の店員さんがわたしの目の前に立つ。
「お待たせしました!」と餃子が出てきた。
全然、待っていない。7秒しか待っていない。
早い。とてつもなく早い。しかも焼きたてである。早すぎて怪しい。わたしの知らない秘密が隠されている気がしてならない。餃子が7秒で焼ける最先端機械が発明されたのだろうか。わたしがその機械の存在を知らないだけなのだろうか。あくまでも直感だが、そんな機械はない気がする。
そこで【王将フードサービス】に直接聞いてみた。
『注文した直後に餃子が出てくる時がありますが、あらかじめ焼いているんですか?』
担当者 あ、あのー、お店が混んでいる時間帯であれば「見込み焼き」と申しまして、ある程度来られるお客様を予測して焼くことがございます。
──へー、「見込み焼き」ですか。あらかじめ見込んで、焼くんですね。
担当者 はい、そうですね。大体これくらいお客さんがいらっしゃったら、頼まれるであろう、と憶測で焼くことがあります。
──その「見込み焼き」は焼いて何分後までに出すんですか?
担当者 それは、焼いてすぐですけれども。
──焼いてすぐ、と言ってもタイミングがズレる可能性がありますよね?
担当者 その場合は、またイチからでしょうし、はい。
──もし、タイミングがずれた場合の「見込み焼きの餃子」ってどうなるんですか?
担当者 ……破棄ですね〜。
──破棄してでも、「見込み焼き」はするんですね。少しもったい無い気がしますね。
担当者 「見込み焼き」は常時やっているわけではないんです。混雑している時間帯にお客さんをお待たせすることがないように実施しています。ですので、随時やっているわけではないんです。
──なるほど。焼いてから保温しているわけではないんですね。
担当者 はい。
──例えば、僕がお店に行って、餃子1枚注文したとして、その1分前に「見込み焼きの餃子」が焼き上がっていたらどうなるんですか?
担当者 お店の判断によりますので、こちらの判断ではお答え出来ません。
──そうですか。ちなみにこの「見込み焼き」する時間帯はいつが多いんですか?
担当者 お昼の繁忙時もそうですし、夕方の繁忙時もそうですし、そのお店によって忙しい時期も少し異なります。
答えはとてもシンプルだった。あらかじめ見込んで焼いている。その名も……
「見込み焼き」
素晴らしい響きではないか。シンプルで分かりやすい。
これからもどんどん「見込んで」ほしい。
わたしたちも「見込まれ」る側の人間だ。見込む―見込まれの関係を今後も維持していきたい。
なぜだか分からないが、餃子の王将に感謝したい気持ちが溢れてきた。これまでいつも見込んでくれてありがとう。
これからもどんどん見込み続けてくれるかな? いいとも! である。って誰に言っているんだわたしは。
(文=酒平民 林賢一)