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高学歴女子、なぜ貧困に陥りやすい?大学講師の惨状~非常勤は低収入で一生独身も

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高学歴女子、なぜ貧困に陥りやすい?大学講師の惨状~非常勤は低収入で一生独身もの画像1「Thinkstock」より
 ここ数年、高学歴ゆえに下手をすると一生、低収入や不安定な生活、さらに独身を強いられる女性が増えているという。そこで今回、その実態や背景について、『高学歴女子の貧困』(光文社新書)の共著者で一橋大学非常勤講師の大理奈穂子氏に話を聞いた。

–本書では、多くの人が大学院博士課程を修了しても非常勤講師のまま、なかなか専任教員の職を得ることができず、経済的にも不安定な日々が延々と続く現実が紹介されていますね。

高学歴女子、なぜ貧困に陥りやすい?大学講師の惨状~非常勤は低収入で一生独身もの画像2『高学歴女子の貧困』(光文社新書)
大理奈穂子氏(以下、大理) 多くの学生がそうした現実を知らずに大学院に進学するため、出口の見えないトンネルのような非常勤生活に陥っていくのです。実のところ、どの教授も学生に対しては、「研究者を夢見て進学しても、専任職に就ける確率は極めて低く、経済的にも苦労する」などとという希望のない将来像を示したりはしません。一つには、そんなネガティブな情報を流したら受験者数が減ってしまい、ひいては大学経営上もマイナスになってしまうからでしょう。

–学生が博士課程を修了した先輩たちの実情を見て、危機感を持つようなことはないのですか?

大理 研究者のキャリア設計には、まるで幾重にも折り重なったカーテンを1枚ずつ押し開けていくような、特有の見通しの悪さがあるのです。先輩といっても、まだ経験の浅い学部4年生や修士課程の院生などの視野に入ってくるのは、せいぜい5学年ぐらい年上の人までですし、研究室というのはよく「蛸壷」と揶揄されるほどに狭い単位ですから、それほど多くのケースを見ることはありません。

–非常勤講師の年収は、一般にどのぐらいなのでしょうか?

大理 非常勤講師は、ひとつの大学につき1週間に3コマまでしか講義を持てません。したがって複数の大学、また予備校などでも授業を掛け持ちせざるをえないのですが、それでも年収はせいぜい300万円です。大学にもよりますが、専任教員になれば助教で年収400万円、専任講師で600万円が相場ですので、専任と非常勤の給与格差は額面で2倍ほどにも及びます。

 しかも職位に年齢は関係ないので、たとえ50歳になっても非常勤講師である限り、収入は変わりません。大学までの交通費は支給されますが、社会保険には加入しないので年金は国民年金、健康保険は国民健康保険です。

–非常勤のまま、勤務する大学の定年に達するとどうなるのでしょうか?

大理 大学の定年は多くが65歳で、その年齢になれば、翌年度への雇用契約の更新はないと書かれた通知が送られてくるだけです。非常勤なので退職金はありません。その後の生計は予備校の講師、学習塾の講師、家庭教師、だいたいこの3つに拠ってなんとか立てていくというのが定番コースです。

専任と非常勤の収入格差は事実上3~5倍

–研究費も支給されないということは、学会への出張費も自費なのでしょうか?

大理 自費です。研究費は専任であれば勤務大学から年間に数十万円が支給され、これを基本的な学会費や旅費、設備費、書籍費などに充てることができます。文部科学省の科学研究費補助金(科研費)を取得することができれば、手に入る研究費はもっと潤沢なものになります。

BusinessJournal編集部

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