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吉田潮「だからテレビはやめられない」(6月15日)

恋愛ドラマ、なぜウケなくなった?ケータイ普及、若者の恋愛離れという言い訳は本当か?

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1991年に放送された『東京ラブストーリー』は社会現象となった(『東京ラブストーリー DVD BOX』<フジテレビ>より)
 主要なテレビ番組はほぼすべて視聴し、「週刊新潮」などに連載を持つライター・イラストレーターの吉田潮氏が、忙しいビジネスパーソンのために、観るべきテレビ番組やテレビの“楽しみ方”をお伝えします。

 4月25日、フジテレビの亀山千広社長が「若いつくり手たちが恋愛ドラマに興味をなくしている」「恋愛ドラマをつくりづらくなっている」などと発言し、話題を呼んだが、恋愛ドラマがとにかくウケない。

 今は「企業モノ」「組織内不和」「逆転劇」がブームで、恋愛は不要コンテンツともいわれる。1対1の人間関係で問われる「個」よりも、やたらと「集団」が描かれるほうが断然多い。個人的に「トレンディドラマ」や「恋愛モノ」にはあまり(というかほとんど)興味がないので、この傾向に憤慨するでもなく寂しいとも思わない。ただし、主にフジテレビやTBSが着実に築いてきた恋愛ドラマブームで育った人々(30代後半~50代前半)は嘆いているらしい。なぜ恋愛モノがウケなくなったのか。

 恋愛なんてホントに「こっ恥ずかしくて情けないこと」の連続だ。他人から見れば、実に間抜けな行為である。理性を失ったり、のぼせあがったり、不毛な疑念を抱いたり、不埒な妄想をしたり、傷ついたり、裏切られたり。間抜け上等、それが恋愛である。また、不倫も略奪愛も同性愛も駆け落ちも腹上死も心中も、立派な恋愛である。

 往年の恋愛ドラマでは、こうした愛の形(負の部分も含め)を猪突猛進で追い求めればよかった。『東京ラブストーリー』(1991年)、『101回目のプロポーズ』(同)、『あすなろ白書』(93年/いずれもフジテレビ系)や『想い出にかわるまで』(90年)、『クリスマス・イヴ』(同)、『高校教師』(93年/いずれもTBS系)あたりまではよかったのだろう。

 ところが、このバラエティに富んだ間抜けさの集合体である恋愛が、ドラマで描かれる際にいつの間にか「素敵系」へと美化されてしまった。セックスのセの字もない、不倫どころか奪い合いもない、執着しない・あきらめのいい・素直な人物ばかりが登場してきて、表面的なやりとりで恋愛を表現するようになった。要は「きれいごと」である。

●面白くないからウケない

 恋愛の根底にある愚かさと間抜けさを絵ヅラにせず、主役をカッコよく見せることばかりに専念しすぎたせいで、つまらない恋愛ドラマが増えてしまった。スポンサーへのごますりなのか、巨大事務所への接待なのか、小うるさいクレーマー視聴者対策なのか、いろいろと事情はあるのだろうけれど、制作側の及び腰が最大の問題だと思う。「携帯電話やらSNSが普及して、すれ違いの恋愛を描きにくくなったから」とか、「若者の絶対的な恋愛離れ」とか、ただの言い訳にすぎない。面白くないからウケない。その一言に尽きる。