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【動画あり】世界で増加する愛国心マーケティングとは?あえて炎上起こしシェア拡大

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Molson CanadianのCM(「YouTube」より)
 国家を代表する商品ブランドは、消費者から特別な愛着を持って消費されます。日本の航空業界では、ナショナルフラッグキャリアとして永く愛されてきた日本航空(JAL)が2010年の会社更生法適用後、業務規模の縮小を進めました。今年6月、朝日新聞は、国際線の便数で、全日本空輸(ANA)がJALを上回り、ナショナルフラッグキャリアが交代したと報じました。

 一方、カナダにおけるビール市場では、モルソン社とラバット社の2社がビール市場のトップシェアを競い合っています。今回は、ナショナルビールブランドとしてのブランディングを強めるモルソンビールの取り組みをご紹介します。

●愛国心マーケティングと消費

 カナダの森の中を真っ赤な冷蔵庫が運ばれていきます。冷蔵庫には、「オー・カナダ(カナダ国家)を歌って冷蔵庫を開けよう」と書かれています。カナダの港、美しい森の中、街角……国歌を歌う輪は広がっていきます。

 ついに冷蔵庫が開きました。中にはモルソンビールがぎっしり入っています。歌い上げた全員で喜びを分け合います。「ハッピーバースデイカナダ」とのメインコピーが流れます。7月1日はカナダの建国記念日です。モルソンカナディアンのブランド名へと切り替わります。

 CM構成も、自然と愛国心をくすぐる編集がなされています。視聴者は、バイラル動画広告(SNSなどで拡散されることを狙ってインターネット配信される広告)でお決まりのイベント型のサプライズ動画だと思って見ている人が多いでしょう。

「国歌を正しく歌うと、何かサプライズが起きるのだろう」と予想しながら見ていると、バラバラな歌声がひとつの歌声となってつながりだし、最後は大勢で国歌を歌いあげる映像となっていきます。動画の最後でカナダ建国を祝うメッセージとともに、ブランド名が明かされることで、モルソン社とカナダという国家イメージが力強く結びつくのです。

●意図的に炎上させシェア奪還

 また、愛国心をうまく刺激することで、マーケットシェアを取り戻した事例として、ルーマニアのチョコレート菓子「ROM」の炎上マーケティングが挙げられます。


動画URL http://youtu.be/Tt9NBtW4sbA
「The American Rom - Campaign Presentation」ROMのCM(「YouTube」より)

「ROM」は歴代パッケージにルーマニアの国旗をあしらった歴史あるチョコレート菓子でした。しかし若者からは「古臭いお菓子」として認識されており、後進の「SNICKERS」(米マース社)などにそのシェアを奪われていました。そんな中、「ROM」はパッケージのルーマニア国旗をアメリカ国旗に変え、英語で大々的なリニューアルキャンペーンを展開したのです。

 昔から馴染みのある「ROM」が急にアメリカナイズされたことに、国民は猛反発。ニュース番組にも取り上げられ、「ROM」の変化に起こったルーマニアの消費者はソーシャルメディアやYouTubeで「ROM」にまつわる議論を活発化させていきます。そして、盛り上がりがピークになった時、「ROM」はこのリニューアルが一時的なもので、ジョークだったことを告げます。かくして、ルーマニアにおける“ナショナルチョコレート”としての盤石の地位を「ROM」は獲得し、チョコレート市場におけるシェアを取り戻したのです。

●日本における愛国心マーケティング

 日本国内においても内閣府調査で、20~30代を中心に「愛国心が強い」と答える割合が増加傾向にあり、テレビでも「(世界における)日本」をキーワードとした番組の視聴率が軒並み好調です。この変化をキャッチするように、日清食品が「SAMURAI, FUJIYAMA, CUPNOODLE」という切り口で国内ブランディングを進めるなど、「海外から見たちょっと変わった日本」という視点を上手く取り込んだマーケティングが増加しています。

 日本で本格的な愛国心マーケティングが行われる日は近いのかもしれません。
(文=黒沼 透@torukuronuma株式会社アクトゼロ

●株式会社アクトゼロ(http://www.actzero.jp/
 ソーシャルメディアマーケティング、コンテンツマーケティング、YouTube・Vineなどのネット動画プラットフォーム活用で、国内有数のクライアント実績を持つ。