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【総括】今年の株主総会の傾向は?一部企業で社長信任率低下、社外取締役やプロ経営者導入

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武田薬品工業東京本社(「Wikipedia」より/Lombroso)
 株主総会は、投資家にとって重要な投資の判断材料になる。上場企業には総会後、「臨時報告書」で議案の投票結果の公表が義務付けられている。可決・否決の結果だけでなく、各議案への賛成票の比率が開示される。特に社長の取締役選任議案に対する賛成票の比率は、株主による信任投票だが、信任を得ているかどうかのボーダーラインが90%といわれている。

 今年の総会で大きな話題になったのが、武田薬品工業の総会である。長谷川閑史社長兼最高経営責任者(CEO/本総会で会長兼CEOに選任)が外国製薬会社出身のクリストフ・ウェバー氏を次期社長に選んだことに、創業家の一部やOBたちが反発。急激なグローバル化に反対する「質問状」を突きつける異常事態となった。

 武田の選任投票の結果はどうだったのか。賛成票の割合はウェバー氏が90.36%、長谷川氏は89.29%。創業家の反乱は他の株主の共感を呼ばなかったことになるが、他の取締役の賛成票が90%を上回る中で、長谷川氏だけが90%を割った。ワンマン経営に対する株主の信頼が揺らいできたことをうかがわせる結果となった。

 大手電機各社が軒並み業績のV字回復を果たす中で、14年3月期の最終利益が1283億円の赤字に沈み、15年同期も500億円の赤字を見込むソニーの総会では、平井一夫社長への賛成票は89%にとどまり、前年の94%から5ポイント下がった。平井氏の経営手腕に対する失望感が支持率を押し下げ、株主からは「89%の賛成があったことが驚きだ」との辛辣な声も聞かれた。なぜなら、14年3月期にV字回復を遂げたパナソニックの津賀一宏社長の支持率は86.75%で、平井氏がこれを上回ったからである。

●加速するプロ経営者の導入

 今年に入り、業界の垣根を越えて異業種からプロ経営者をトップに招く人事が目立っているが、対象となる経営者たちの取締役選任議案における支持率が総じて高いようだ。

 1899年の創業以来、同族経営を貫いてきたサントリーホールディングスは、コンビニエンスストアチェーン・ローソンの新浪剛史会長を10月1日付で次期社長に招く。新浪氏にとって最後となるローソンの総会(14年2月決算)での賛成票比率は、97.78%だった。

 進研ゼミのベネッセホールディングスは、ハンバーガーチェーン・日本マクドナルドホールディングスの原田泳幸会長を社長兼会長に招聘した。ベネッセの総会での賛成票の割合は99.5%と、ほぼ満票に近い支持を得た。原田氏への期待の大きさがわかる。

 化粧品業界の老舗、資生堂は日本コカ・コーラの社長を務めた魚谷雅彦氏を社長に迎えた。魚谷氏の賛成票は93.5%だった。

 このほかの企業の経営トップの支持率をみてみると、自動車メーカーで世界首位のトヨタ自動車の豊田章男社長は97.43%、経団連会長に就いた東レの榊原定征会長は91.04%。再上場を果たした西武ホールディングスの後藤高志社長は98.36%。反社会勢力への融資問題で揺れ、社外取締役が経営を監視する委員会設置会社に移行した、みずほフィナンシャルグループの佐藤康博社長の賛成票の割合は93%だった。