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警視庁、送検時の一部証拠の隠ぺいが発覚 事件ねつ造、被害者女性の個人情報漏えいか

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警視庁本庁舎(「Wikipedia」より/っ)
 警視庁の都心の所轄署(以下、A署)が昨年末、ある名誉棄損事件で東京地検に書類送検した際、警察が事件化するために不利な証拠を隠ぺいしていた事実が発覚した。この事実は東京地検による警視庁への照会で発覚し、東京地検が事実を開示した。


 この事件では、2012年春に「自社の幹部が、職権を悪用して多数の猥せつ行為を行っている事実、その隠ぺいのために自社が組織的に脅迫している事実をB氏(仮名)らに告発されたが、これは虚偽の内容の告発であり名誉棄損だ」として、管轄区内に本店を置く東証一部上場の大手企業C社(仮名)が大手法律事務所の弁護士を代理人として、A署に対し告訴状を提出していた。

 名誉棄損罪の場合は憲法で保障されている「表現の自由」の観点から、公共性がある事実や、事実と信じるに足ることの告発は、そもそも犯罪とならない。逆に事実の通りであれば、名誉棄損で告訴状を出した側が虚偽の告訴をしたとして、刑事裁判でも虚偽告訴罪という犯罪にもなりうる。これは悪質な行為をする側が名誉棄損主張を悪用し、被害者や世論を黙らせて悪事を隠ぺいすることを阻止するためである。

 日本でも、かつて早稲田大学を中心としたサークル「スーパーフリー」が多数の女子学生へ性的犯罪を犯した上で、その事実を告発した被害者女性たちに対して「虚偽の告発だ」と名誉棄損を主張し、多額の賠償金を要求して提訴。被害者女性たちの個人情報を公開する手口で嫌がらせし、犯行を隠ぺい。結果として事件化する頃には膨大な数の被害者が発生してしまっており、法曹会では大きな問題となっている。ちなみにこの問題は、日本の法曹界全体として弁護士の仕事を増やすために、裁判数の増加を求める傾向があり、提訴権の濫用を違法とは認めたがらないという構図の問題も含めて議論となっている。

 今回の事件でC社から警視庁に提出された告訴状は、性犯罪被害者女性らの支援をしていたB氏らの告発が名誉棄損だという内容であった。そのため警視庁としては、仮にB氏の告発が事実や事実と信じるに足りる状況にあった内容であれば、そもそも名誉棄損は成立しない上に、性犯罪加害者側のために、脅迫に苦しめられる被害者女性らを、警察がさらに苦しめてしまいかねず、事件について慎重に捜査・確認することが求められる事件だった。実際、この時点でも警視庁の別の所轄署には、被害者女性らがC社幹部による猥せつ行為、及びC社からの脅迫被害を届け出ており、性犯罪容疑で捜査されていた。

 ところが、冒頭の告訴状を受けたA署は、確認を十分にせずに、一般人である第三者に「捜査関係事項照会書」を開示。資料には、性犯罪被害を受け、さらに隠ぺいのための脅迫行為の被害者女性個人の住所、氏名、生年月日まで記載されていた。資料を見ると、まるで被害者女性側が加害者であるかのような内容だが、第三者に捜査関係事項照会書を開示するという警視庁の行為は、適切なのであろうか。

「性犯罪加害者側による名誉棄損の告訴によって、被害者女性の個人情報、しかも住所や氏名までを警視庁が一般に公開していたというのには驚きました。そもそも、B氏の告発が事実ならC社が主張する名誉棄損は成立しないため、A署はC社の代理人から出された告訴状の主張の真偽を、まず慎重に捜査するべきだったと思います。