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太陽光発電ビジネスに「15年危機説」?価格下落、「恩恵」切れ、実働事業者は5%…

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「Thinkstock」より
 京セラはオリックスなどと共同で2017年、長崎県五島列島で大規模太陽光発電所メガソーラー)を稼働させる検討を行うと発表した。出力は43万キロワットと世界最大級で、総投資額は1500億円に達する。国の再生可能エネルギーの推進と共に盛り上がりを見せるソーラービジネスだが、「2015年危機説」が早くも一部では流れている。

 長崎県五島列島のメガソーラーの出力は、これまで国内最大級とされた丸紅が運営する大分県のソーラーの約5倍に相当するという。京セラは五島列島の案件以外でも13年末に鹿児島市に国内最大規模の7万キロワットのメガソーラーを稼働済み。京セラ以外でもソフトバンクなど大手企業の中にはメガソーラー事業に注力する企業が増えている。 

 ただ、証券アナリストの多くは「ソーラー関連事業の先行きは不透明」と指摘する。背景にあるのは太陽光発電事業者向けの「恩恵」が切れる時期が近づいているためだ。12年7月の再生エネルギー固定買い取り価格制度の開始に伴い加熱した太陽光ブームだが、事業者向けの買い取り価格は13年4月には前年度比1割減の36円(税抜き)、14年4月に32円(同)に下がった。「開始時こそ想定以上だったが、その後の下落幅は想定外」との指摘もある。

 15年度以降も採算割れにはならないが、厳しい値付けが予想される。太陽光発電設備の取得価額全額を一括して償却できる税制の特別措置も14年度で終了する。「事業者は、赤字にはならないものの、これまでのような丼勘定ではなく収益の精査が必要になる」(電機担当アナリスト)。

●経産省が対策に本腰

 こうした規制の強化には、経済産業省の思惑が大きく影響している。同省の統計では、13年2月末時点で運転を開始した1000キロワット以上のメガソーラーは69施設。設備の認定件数は1755であることを考えると、実働は5%にも満たない。そのため、13年秋から、設備の認定を受けた事業者に工事の着工か第三者への譲渡、もしくは廃止届を出すかを迫った。設備事業者は、「認定だけ初年度に受ければ、買い取り価格は高値のまま。太陽光発電の設備は急速に値下がりしている。業者が設備の価格下落を待って建設に乗り出すのを防ぐために本腰を入れ始めた」と打ち明ける。

 国が後押しすることで、着工件数が今後も増える可能性が高い。ただ、「太陽光は一定規模の土地が必要で、日照の問題もある。設備認可を受けた業者の中には、買い取り価格の高さだけで動いたものの、土地を用意できない業者も出てきている」(同設備事業者)とブームの尻すぼみを懸念する声もある。

 一部の大手企業が積極展開するソーラービジネスだが、大手以外も続かなければ、ひとつの潮流にはなりえない。とはいえ、潮流を生み出すのは、企業の自助努力では限界がある。「恩恵」が切れた後、国はどう舵取りするのか。ソーラービジネスは、一過性のブームで終わらずに普及するのか。早くも正念場を迎えている。
(文=黒羽米雄/金融ジャーナリスト)