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ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」第28回

横浜市農業委員会、利権濫用・脅迫的行為で農家が被害 農地価値低下を招く行為も

文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト
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横浜市農業委員会、利権濫用・脅迫的行為で農家が被害 農地価値低下を招く行為もの画像1「Thinkstock」より

「ブラック企業アナリスト」として、テレビ番組『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、「週刊SPA!」(扶桑社)などでもお馴染みの新田龍氏。計100社以上の人事/採用戦略に携わり、数多くの企業の裏側を知り尽くした新田氏が、ほかでは書けない「あの企業の裏側」を暴きます。

農業委員会」という組織をご存知だろうか。身近に農地が少ない都市部在住者には馴染みがないかもしれないが、教育委員会などと同じく、日本の市町村単位で設置が義務付けられている行政委員会だ。委員会を構成する農業委員は、地元農家から選挙で選ばれた選挙委員と、市町村長から選任される選任委員からなり、「特別職の地方公務員」という扱いになっている。

 農業委員会の主な仕事は農地行政に関する事務であり、農地売買や農地転用に際して、農地の無秩序な開発を監視・抑止する役目を担っている。具体的には、「農地の売買や貸借の許可」「農地転用案件への意見具申」「遊休農地の調査・指導」などを担当する。

 そもそも農地というのは、個人所有の不動産でありつつも、国民の食料を生産する公共的役目を持つ一面も有しているという考え方に基づき、農地所有者の個人的な意思だけで勝手に売買処分や地目の変更はできない。一定の制限が課せられているかわりに、固定資産税などは低く抑えられている。

 このような経緯から、農地は原則として農家の要件を満たさない者への所有権移転等は認められず、都市計画の用途指定区域にある農地を除き、簡単に宅地などへ地目変更できないという決まりがある。この許認可権を握っているのが、各地の農業委員会なのだ。

 しかし、本来は農地確保と有効利用を推進するために存在する農業委員会が、利権を振りかざす一部委員の個人的な思惑により、地元農家が迷惑する存在となっていることはあまり知られていない。

●農地造成業者とのトラブル発覚

 A社(仮名)は、神奈川県横浜市北部を中心に農地造成を行っている業者であり、これまで10年以上の経験と豊富な実績を持っている。今回、そのA社と、横浜市の農業委員であるB氏(仮名)とのトラブルが発覚した。

 発端は2013年夏のことだ。A社が造成を担当した土地の現地立会いにB氏が参加した際、B氏は「A社と関係する業者は、この町内で仕事をできなくしてやる」との暴言を吐いたのである。その後も、A社の農地造成に関して合理性のない修正を指示し、無駄な修正工事を行わせるといったことが起こった。

 そして今回問題となっているのは、同市内の別の農地造成に関してである。この土地は傾斜地にあるため、豪雨のたびに土壌が流出してしまい、畑地の地形も変わるため、放置すれば畑地としての価値も低下してしまう恐れがあった。その傾斜を修正するという、合理性が極めて高い造成工事をA社が請け負うこととなり、隣接地の所有者からの同意も得て今年1月、農業委員会に事前相談書を提出した。

 しかし2月に行われた現地立会いの際、B氏は理由なく「農地造成の必要なし」との見解を示したばかりか、A社に対し「農地造成業務をやめろ」とも発言したのである。その後、地主とB氏を交えて協議を行い一件落着したものと思われたのだが、今度は3月に隣接地の地主に確認したところ、B氏から「同意書に署名しないように」と連絡を受けたとのことであった。

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

労働環境改善による企業価値向上支援、ビジネスと労務関連のこじれたトラブル解決支援、炎上予防とレピュテーション改善支援を手がける。労働問題・パワハラ・クビ・炎上トラブル解決の専門家。厚生労働省ハラスメント対策企画委員。著書25冊。

Twitter:@nittaryo

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