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ブラック企業アナリスト・新田龍「あの企業の裏側」第28回

横浜市農業委員会、利権濫用・脅迫的行為で農家が被害 農地価値低下を招く行為も

文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト
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 農業委員会の承認がない限り、農地に関する決め事は何も進まないし、役所さえも動けない。ちなみにB氏は、横浜市の農業委員、農協の地区副理事、そして工事部長を兼ねている。本来ならばさまざまな問題を調整してうまく仕事を進ませる役割であるはずのB氏が、合理的な理由や説明もなく工事を止めているのだ。

 このようなB氏の言動は、法的にも、民事的には業務妨害行為、行政法的には裁量権の濫用行為、刑法的には威力業務妨害罪、公務員職権濫用罪にあたる違法な行為であり、農業委員として不適切な行為である。

 さらにB氏は、自らも農業を営んでいるのだが、農地法に関する条例や規制に関する情報をいち早く得られるという立場を悪用し、自らの農地の工事造成を規制がかかる前にやってしまうなどの利権悪用行為も見受けられる。

●横浜市中央農業委員会、事実と異なる回答か

 このような人物が、農業行政において許認可権を持っていることは問題ではないのか。筆者は横浜市中央農業委員会に対し、次の点について取材を申し込んだ。

「上記事件について、関係者に取材の上で事実確認しているが、農業委員会として何かしらの疑義があるか?」
「B氏の行為は裁量権の濫用のみならず、法的にもグレーであり、農業委員として不適切であると思われるが、農業委員会としてどのように考えているのか?」

 これに対し横浜市中央農業員会会長の名義で、次のような回答が寄せられた。

「土砂流出している土地に隣接する土地の所有者が、土砂対応で苦慮している件は、B委員からの報告を受け回答している」

「農地造成に関する手続きは、申請者から事前相談書の提出を受け、関係行政部署とも調整のうえ、農地造成に向け必要な要件や意見等を付した回答書を渡している。申請内容については、当委員会で委員の合議により審議することになる。施工場所が土地改良区内等で地域農業団体が存する場合には、その意見を確認することになっている」

 しかし、この回答内容は筆者の取材により確認した事実とは異なるものであった。まず、「隣接する土地の所有者」から「苦慮している」というようなクレームはまったく発生していない。横浜市中央農業委員会は、B氏の報告書の真偽について確認しているのであろうか。さらに、土地改良区に関して横浜市は介入できないはずだが、なぜ農業委員が介入しているのかという疑問が残る。

 筆者はこれらの点を指摘した上で、改めて以下の点について横浜市中央農業委員会へ問い合わせを行った。

「そもそもB氏が、なんの違法事象もないにもかかわらず、『A社と関与がある業者すべてに農地造成をさせない』と脅迫した事実は把握しているのか?」

 回答期限を過ぎた現時点においても、まだ回答は得られていない。
(文=新田 龍/株式会社ヴィベアータ代表取締役、ブラック企業アナリスト)

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

新田龍/働き方改革総合研究所株式会社代表取締役

労働環境改善による企業価値向上支援、ビジネスと労務関連のこじれたトラブル解決支援、炎上予防とレピュテーション改善支援を手がける。労働問題・パワハラ・クビ・炎上トラブル解決の専門家。厚生労働省ハラスメント対策企画委員。著書25冊。

Twitter:@nittaryo

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