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一強・ヤマトの憂鬱 ネット通販拡大に乗り、第3の改革で物流網再構築 足元に懸念も

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ヤマト運輸「クロネコヤマトの宅急便」配送車(「Wikipedia」より/天然ガス)
 宅配業者にとって国内事業の成長の柱は、アマゾン・ドットコム、楽天などのインターネット通販向けだ。スマートフォン(スマホ)の普及を背景にネット通販市場は急拡大しており、配送を担う物流企業はビジネスを拡大する絶好のチャンスだ。中でも宅配便のパイオニア、ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングス(HD)は大きな恩恵を被っている。

 宅配便首位のヤマトHDは2013年7月、ネット通販の拡大を見越して「バリュー・ネットワーキング構想」を打ち出しており、2000億円を投じて物流網を強化する。同社の木川眞社長は「1929年の路線便事業、1976年の宅急便に続く、ヤマト3度目のイノベーション」と位置付けた。

 同構想の柱になるのは昨年9月、羽田空港の隣に1400億円かけて建設した国内最大の物流拠点、羽田クロノゲートだ。ギリシャ神話の時間の神、クロノスとゲートウェイにちなんで名づけられたそのネーミングには、物流の玄関口であるとともに、物流新時代の幕明けの意味が込められている。

 キーワードは「止めない物流」。従来の宅配事業ではベース(主管支店)に集荷した荷物を夕方までプールし、夜間に発送作業を行っていた。幹線輸送も1日1回だった。これに対して、羽田クロノゲートは年中無休の24時間操業であり、荷物の到着と同時に仕分けして、ヤマトHDの各地のベースに即時に送り出す設備を備える。

 全長1070メートルのクロスベルトソーターと呼ばれるベルトコンベアの上を家電から食品、書籍まで、さまざまな形状の段ボールが時速9.7キロメートルで流れていく。従来の施設では1時間当たり2.4万個だった仕分け能力が同4.8万個と倍増し、1日当たりの荷物の処理能力は60万個になった。これにより、多頻度の幹線輸送が可能になった。

 羽田クロノゲートは、ヤマトHDにとって物流網再構築の第一歩だ。すでに稼動している厚木をはじめ、関西や中部にもゲートウェイを設け、16年に東京、名古屋、大阪の三大都市間で宅急便の当日配送を始める態勢を整える。

●アマゾンとの蜜月


 ヤマトHDの「第3の革命」の初年度に当たる14年3月期の宅急便の取扱数量は、前期比12.0%増の16億6500万個。前の期に比べて1億7800万個増えた。アマゾンの荷物が増えたことが寄与した。

 00年、アマゾンが日本に進出当初は、日本通運のペリカン便が宅配業務を担当していたが、その後、SGホールディングス傘下の佐川急便とヤマトHDが二分してきた。だが、アマゾンの要求に応えるのは容易ではなく、佐川急便は昨年4月にアマゾンとの取引をほぼ停止した。数量の変動が大きく、時間指定を含めサービスの要求水準が高いにもかかわらず、対価が極めて低かったからだ。佐川急便の値上げ交渉は不調に終わり、その結果、アマゾンの宅配業務のほとんどをヤマトHDが一手に支えることとなった。