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山田修「展望!ビジネス戦略」(12月12日)

ヤマダ電機、一世帯当たり年間19万円分購入?限界突破のカギ・ご用聞き販売の破壊力

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ヤマダ電機 LABI渋谷店(「Wikipedia」より/Wideangle)
 ヤマダ電機が「ご用聞き販売」を開始することが先月、明らかとなった。ヤマダは家電量販業界で圧倒的な売り上げトップである。2014年3月期決算ベースで約1兆9000億円という年商は、2位のビックカメラ(同8000億円強)の実に2倍だ。

 しかし、この業界の一強横綱は、その大きさゆえの悩みにも直面している。さらなる成長戦略をどう描くか、という悩みだ。日本全国に展開する店舗数は1000を超えてしまった。一方、日本に「市」は790ある(2008年時点、以下同)。「市」となる要件の一つは人口3万人以上で、つまりヤマダは日本のすべての3万人以上の地域市場に出店を終えてしまっているということだ。ちなみに人口5万人以上の都市数は541にすぎない。

 ヤマダの1店舗当たりの平均年商は19億円程度ということになるが、3万人規模の市には1万世帯くらいが生活すると見て、それらの商圏で全世帯が年間にヤマダの店舗で19万円程度の消費をしているという計算が成り立つ。一口に言ってしまえば、市の大部分の世帯がヤマダで年に19万円ほどのお買い物をしている、ということだ。

 『本当に使える戦略の立て方 5つのステップ』(山田修/ぱる出版)

 IT関連製品も含む電化製品を年間19万円程度も買う顧客層に、今以上に売るにはどうすればよいのか。つまりこの限界成長が、ヤマダが直面するようになった問題だ。

 実は同社の売り上げは今年度初め以降好調とはいえない状況が続いている。消費増税の反動もあるのだろうが、月度売り上げは4月以降、毎月前年同月比減が続いている。インターネット販売として「ヤマダモール」を展開し、取扱商品数こそ350万点以上としているが、アマゾンや楽天などを追撃するような迫力ではない。それどころか消費者が実店舗で商品を品定めして、実際の購入は楽天やアマゾンなどのECサイトで購入するという「実店舗のショールーミング化」が進んでおり、ヤマダにとっては深い悩みとなっている。

●新顧客層開拓で一気に商機広がる


 今回のご用聞き販売は、今まで来店してくれなかった顧客層に商品を売り込むという点が新機軸だ。ヤマダと提携している全国約3400の地域電器店が馴染みの顧客を家に訪問し、「ご用聞き」型で注文を取り、ヤマダに発注するという。パンフレットの代わりに専用タブレットで商品を見せ、商品の配達もその電器店が行う。ヤマダではこの形態も含めて、ネット関連全体の売り上げを現状の数百億円規模の年商から6年後には2000億円以上に引き上げるとしている。