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あの話題のベンチャー、赤字でも異例巨額資金調達に厳しい見方 社長が10倍の議決権保持

文=編集部
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あの話題のベンチャー、赤字でも異例巨額資金調達に厳しい見方 社長が10倍の議決権保持の画像1サイバーダイン本社(「Wikipedia」より/Nesnad)
 今年は、ロボットスーツ「HAL」を手掛けるベンチャー、サイバーダインの真価が問われる1年となりそうだ。事業の将来性の高さが評価を受ける一方で、巨額のエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)に対する厳しい見方が出始めているためだ。

 筑波大学の教授でもある山海嘉之社長が創設した同社のHALは、ドイツで医療用機器として保険適用を受けるなど世界的にも注目を集めている。昨年3月に東京証券取引所のマザーズ市場に上場し、投資家の注目度も高い。

 一方、同社は山海社長が上場株式の10倍の議決権がある種類株を発行している。通常、オーナー企業の株式上場は個人商店からパブリックカンパニーへの転換を意味するが、同社では上場後も山海社長の意思が他の多数の株主の声よりも優先されることになっている。仮に会社の最高意思決定機関である株主総会で一般株主が異議を唱えたとしても、実質的に無意味な状態だ。種類株は海外でも米グーグルや米フェイスブックなど一部企業が発行しており、サイバーダインの種類株発行も上場時はそれなりに評価されていた。

 しかし、同社が昨年11月に公募増資や転換社債型新株予約権付社債(CB)を発行。約410億円の資金調達を実施してからは、世間の目が厳しくなってきているのである。同社の15年3月期の売上高は7億5000万円、経常損益は5億5800万円の赤字となる計画。しかも、この業績は期中に下方修正されたあとの数字である。数字だけなら経営がうまくいっていない中小企業並みにもかかわらず、410億円もの資金調達を実施した。

 加えて、種類株の影響で株主の監視は効かない状況なのである。既存株主は新株発行で、1株当たりの価値が希薄化している。市場では「体力に乏しい新興企業が資金調達を実施する場合、開発段階に応じて数回に分けて行うのが一般的」(国内大手証券)とされる。売上高の50倍以上の額の調達は異例中の異例といえる。

●求められる早期の開発進展

 410億円の内訳は公募増資で210億円強、CBで約200億円。ちなみに、公募価格は3159円、CBの転換価額は3790円だ。このうち、CB調達分については外資系の幹事証券との契約で、一定の条件が満たされなければ引き出せない。具体的には、HAL医療用についてFDA(米食品医薬品局)からの承認取得や、日本での医療機器製造販売承認取得である。

BusinessJournal編集部

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