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9セルで読み解く 川上昌直のビジネスモデル・シンキング

大塚家具、実は対立してない?娘は父のモデルを継承&拡大、低価格路線転換という誤解

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大塚家具 有明本社ショールーム(「Wikipedia」より/Ryoma35988)
 大塚家具創業者の大塚勝久会長と、その長女の久美子社長が経営権をめぐって激しく対立し、連日メディアを賑わせています。前回の本連載記事『大塚家具、骨肉の争い泥沼化の父娘は、実は対立していない ビジネスモデル分析より考察』では、勝久氏のビジネスモデルを9セル(ナインセル)で読み解きました。今回は、久美子氏のビジネスモデルが父のビジネス構造と対立していないことを明らかにします。久美子氏は、勝久氏と同じく高級家具を購入する顧客もターゲットにしていることが見えてきます。

●久美子氏の「ビジネスモデル」は?


 2009年に社長就任当初、久美子氏は勝久氏のビジネスモデルを踏襲して経営を続けますが、この年から2年連続で赤字に転落します(以下図中▲)。これは、08年のリーマンショックによる不景気を経て競合するIKEAやニトリの台頭も重なり、高級路線の家具業態が行き詰まったことを物語っています。


 久美子氏は業績を劇的に改革しようとビジネスモデルの再構築に着手します。それを一言で言えば、「IKEAやニトリを利用する顧客の一部も取り込めるように、単価の低い家具を新たに取り扱うこと」です。

『ビジネスモデル思考法 ストーリーで読む「儲ける仕組み」のつくり方』(川上昌直/ダイヤモンド社)
 この改革は、報道を見る限りでは、久美子氏が高級路線から一転、低価格路線の購入客に完全にターゲットを切り替えたかのように錯覚します。それが事実なら、「これまで大塚家具のファンだった顧客が離れてしまうのではないか?」という疑問や、「サプライヤーが大幅に変更されるため、輸入売り上げ構成比が50%を越える同社が果たして乗り越えられるのか?」という不安があります。

 しかし、久美子氏が大塚家具で実現したかったビジネスモデルは全然違うのです。まずは次の図をご覧ください。