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投資集団「般若の会」に強制調査!銀座で1億円落とした風雲児が窮地 株価操作の疑い

文=編集部
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 株取引で大量の買いや売りを入れて意図的に相場を操作し、多額の利益を得る集団のことを「仕手集団」「仕手筋」などと呼ぶ。そんな有名仕手系グループ「般若の会」に調査のメスが入った。証券取引等監視委員会は3月11日、同会が運営するサイトを通じて特定銘柄の株価をつり上げた証券取引法違反(風説の流布)の疑いがあるとして、関係先を強制調査した。

 般若の会元代表の加藤あきら(編注:日の下に高、以下同)氏は、1970年代後半から80年代前半にかけて医師や社長、政治家など5000人を会員とする投資家集団「誠備グループ」を率い、「兜町の風雲児」と呼ばれた相場師だ。日本中を騒然とさせた東京・銀座での1億円拾得事件(80年)のカネは、加藤氏が落としたものだ。「政治家に渡すカネだった」と後年述懐している。

 81年2月、加藤氏は東京地検特捜部に逮捕された。所得税法違反(脱税共犯)の容疑だが、特捜部の狙いは加藤氏の顧客である政治家の名前を吐かせることにあった。加藤氏は取り調べ中に般若心経を唱え、完全黙秘を貫いた。加藤氏が口を割っていたら、リクルート事件(88年)と並ぶような一大疑獄事件になっていたといわれている。

 加藤氏に助け船を出したのは、「経済ヤクザ」の異名を持つ石井進・稲川会会長(当時)だった。「秘密は厳守する」というプロ相場師の侠気に心を動かされた石井氏は、加藤氏側の証人に立った。顧客の脱税幇助では有罪になったが、脱税したという点では無罪になった。石井証言が決め手となり、検察が負けた。

 バブル真っただ中の89年には、石井氏の指南役として「バブル期最後の戦い」といわれた王子製紙をめぐる仕手戦を仕掛けたが、石井氏の病死で仕手人脈は崩壊した。加藤氏はバブル崩壊後、影を潜めていたが、阪神大震災後の95年に「新しい風の会」を結成し、当時の仕手銘柄、兼松日産農林を300円台後半から5310円へと13倍強に暴騰させた。03年には株式研究会「泰山」を立ち上げ、証券界への本格復帰がささやかれた。加藤氏の介入が噂される銘柄は「K銘柄」といわれたが、加藤氏の名前が前面に出ることはなかった。

推奨銘柄が暴騰

 11年3月、東日本大震災で東京電力福島第一原子力発電所の事故が発生した。戦時中に広島で被爆した経験を持つ加藤氏は、座禅を組み般若心経を唱えた。そして加藤氏は般若の会を立ち上げ、般若心経を説くために実名で登場。併せて株価の見通しを披歴した。

 11年11月1日にはサイト「時々の鐘の音」を開設し、「般若の会代表、加藤あきら」名で、「200円台、5円復配、復興関連」といったヒントを並べて「凄まじい爆発力を生み出す(銘柄)」と大予言した。市場でこれらの条件を満たす銘柄と目されたのは、大証1部に上場している化学メーカー、新日本理化だった。加藤氏の推奨を受け、新日本理化の株価は暴騰する。同年10月末に274円だった株価は、12月12日には930円の最高値をつけた。サイト開設から1カ月余りで3.4倍に上昇した。あまりにも強い動きに、12月9日には新規売り停止の株価規制措置が取られた。それに伴い、新規売りの流入がなくなるため、売り方の買い戻しが一巡すれば相場は一段落するのがセオリーだった。

BusinessJournal編集部

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