ソフトバンクが、子会社で仏ベンチャー企業のアルデバラン・ロボティクスと開発した人型ロボット「ペッパー」は、人工知能を駆使し、巧みな会話を武器に店頭で接客業務を担う。そんな人工知能を搭載したロボットが接客の主役となる、ロボットホテルが誕生する。
ロボット開発企業の技術を結集したロボットホテル
長崎県の大型リゾート施設ハウステンボスは7月19日、ロボットホテル「変なホテル」(2階建て、72室)を開業する。「先端技術を駆使し、改良を重ね、変わり続ける」という意味で名づけられた。
格安旅行会社エイチ・アイ・エス(HIS)の会長で、傘下のハウステンボスの社長を兼務する澤田秀雄氏が仕掛け人である。「世界最高の生産性を持つローコストホテル」(澤田氏)を目指して東京大学などと共同で研究し、10台の人工知能搭載ロボット導入を決めた。
変なホテルの接客の主役はロボットである。フロント係は人型ロボット。荷物の回収や運搬、清掃など主要業務はロボットが行う。部屋に入ると、ハウステンボスのキャラクター「ちゅーりー」の小型ロボットが宿泊客に「お疲れさま」と声を掛け、照明や空調を調整する。顔認証システムが導入されており、滞在中ルームキーは不要だ。
澤田社長は、ロボットの導入で人件費を同規模の一般的なホテルに比べて6~7割削減できると試算している。今後、ロボットホテルを5~10年のうちに国内外で100~200に拡大することをもくろむ。
ロボットホテルには、アルデバラン・ロボティクスをはじめ人型ロボット開発ベンチャーのココロ、産業用ロボットに強い安川電機もロボットを提供している。
変なホテルは、さながら国内外のロボット開発企業の先端技術を結集した実験場となった。
政府が成長戦略と位置付けるロボット新戦略
日本のお家芸のひとつが産業用ロボットだ。多関節ロボットはファナック、安川電機、スイスABB、独KUKAが世界の4強である。
安倍晋三政権が今年2月に決定した「ロボット新戦略」では、日本が世界のロボット開発拠点となることを掲げ、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の国内ロボット市場を、現在の6000億円から4倍の2兆4000億円に拡大する目標が盛り込まれた。