非製造業では介護・医療や、人手不足が懸念される物流、飲食、ホテル・旅館や農業、さらには災害対応などでロボットの新規導入を想定している。
5月15日、政府主導の産学官組織「ロボット革命イニシアティブ協議会」が発足した。ロボット新戦略の推進団体だ。発足に当たって、挨拶に立った安倍首相は「新たなロボット革命を巻き起こす」と宣言した。
今はまだ産業用ロボットは日本のお家芸といえるが、次の時代に欧米の単なる下請けになってしまうことを安倍首相は懸念している。その背景には、人工知能を搭載した次世代ロボットの開発で欧米に先行を許しているとの危機感がある。
次世代ロボットの担い手として期待が高まる安川電機
そこで、次世代ロボットの担い手として期待されているのが安川電機である。
同社は1977年、油圧ではなく電気を使った産業用ロボットを国内で初めて発売。その後、産業用ロボットの出荷台数で世界一になった。15年3月期の連結決算の売上高は前期比10%増の4001億円、純利益は46%増の248億円で、7期ぶりに過去最高を更新した。北米などで自動車向け産業用ロボットが伸びた結果だ。
中国が世界一の自動車大国になったのに伴い、産業用ロボットの需要は拡大したが、その一方で中国のロボットメーカーが台頭し、今後、日本企業の競争力が低下するのは避けられない情勢だ。
そのため日本企業は、将来的に大市場になると見込める医療や福祉、生活支援を中心としたロボットを製造する方向に転換している。
安川電機は自動車用溶接ロボットで長年培った技術を生かし、医療・福祉分野のロボット開発を加速させている。脊髄損傷患者が再び歩けるようになる装着型歩行支援装置や、要介護者をベッドから車いすに移動させるのを支援する装置を開発した。
変なホテルでは、荷物をアームで持ち上げてロッカーに収納する安川電機のアームロボットが、荷物の一時預かりを担当する。
安川電機は、産業用ロボットから医療、福祉、生活支援ロボットへと大きく舵を切った。
(文=編集部)