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石堂徹生「危ない食品の時代、何を食べればよいのか」

倒産続出、75%が赤字、植物工場でビジネスは無理?放射能汚染地や昭和基地が適地?

文=石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

赤字が普通で、撤退や倒産も珍しくない植物工場ビジネス

 実は、植物工場の撤退や倒産は珍しいことではない。複数のレポートによると、参入企業のうち60~70%が高コストなどによる赤字であり、撤退や倒産がしばしば起きているという。【編注5】

 例えば、オムロン(01年撤退)やユニクロ(04年撤退)、エコファーム・マルシェ(10年解散)、田園倶楽部奥出雲(11年倒産)、シーシーエス(12年撤退)などが挙げられる。

「週刊エコノミスト」(毎日新聞出版)での筆者の取材に対し、植物工場の動向に詳しい千葉大学の古在豊樹名誉教授(NPO法人植物工場研究会理事長)は、以下のように語っている。【編注6】

「現在、植物工場に参入している企業は200社弱で、うち黒字が確実なのは15%で、黒字化しつつある(単年度では黒字だが、工場建設の減価償却はまだ)のが10%。残りの75%は赤字です」

植物工場の3つの課題

 さまざまな情報を整理すると、植物工場の経営を難しくしている要因のひとつが、コストの高さだ。

 農水省と経産省の報告書【編注7】では、植物工場と施設生産(ビニールハウスでのホウレンソウなどの養液栽培。養液栽培は土壌ではなく、養分を溶かした養液で栽培する。水耕栽培と同じ)の10アール当たりのコストを比較している。

 それによると、設置コストは施設生産の1800万円に対し、植物工場は約17倍の3億1000万円だ。運営コスト(光熱費)は施設生産の40万円に対し、植物工場は約47倍の1860万円となっている。

 これだけコスト差があると、いくら植物工場をうまく稼働させて、高品質の野菜を効率的かつ安定的に大量生産したとしても、採算を取り続けるのは難しい。単価の高い果物や花などならまだしも、野菜は単価が安いからだ。

 だからこそ、植物工場は補助金頼みになる。第三次ブームが起きた09年以降、農水省と経産省だけで約500億円の補助金が出されているという。

 第二の課題が、植物工場における野菜などの栽培方法と、植物工場の管理・経営ノウハウが確立されていない点だ。

 植物工場は光や温度、養液などをコントロールして光合成を促し、効率的かつ安定的に野菜を成長させるが、植物は生き物だ。工業製品のように、すべてを施設や設備任せにはできない。日々観察し、微調整を行い、対応する必要がある。そのため、植物の生理などに関する基礎的および体系的な知識が欠かせないが、それらが不足している。

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

石堂徹生/農業・食品ジャーナリスト

1945年、宮城県生まれ。東北大学農学部卒。養鶏業界紙記者、市場調査会社などを経て、フリーに。現在、農業・食品ジャーナリスト

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