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ノンフィクションライター 清泉亮インタビュー(1)

【日航機墜落30年】御巣鷹の村、日航の「下請け化」=経済的依存が深まる歪んだ関係

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「御巣鷹の尾根」墜落現場
 1985年8月12日、日本航空123便が群馬県上野村に墜落し、乗客・乗員520人が死亡した。単独の航空機事故としては、いまだに世界最悪の死亡者数だ。

 今年は事故発生から30年。現場近くに住むノンフィクションライター・清泉亮氏は7月に『十字架を背負った尾根』(草思社)を上梓、これまで言及されることがほとんどなかった上野村民の姿を描いている。

 今回は清泉氏に、

・上野村民が日航に依存する歪んだ関係の実態
・高齢化、過疎化に悩む上野村の現実

などについて話を聞いた。

--上野村について教えてください。

清泉亮氏(以下、清泉) 正直に申し上げて、村民と日本航空の関係は、非常に難しい局面を迎えています。墜落現場の通称「御巣鷹の尾根」は国有林だったのですが、事故を受けて払い下げが行われ、公益財団法人「慰霊の園」が所有しています。村と日航が共同管理を行い、財団法人の理事長は上野村長が務めてはいます。とはいえ、基金の運営状況は厳しく、年々、日航の寄付金頼みという状況が強まっています。

--今年の7月15日、日航の植木義晴社長は定例会見で、「公益財団法人慰霊の園への支援や慰霊式典への参加につきましては、今後もご遺族のお気持ちに寄り添いながら続けさせていただきます」と発言しています。

清泉 トップとして本心の言葉でしょう。ですが現場を見る限り、経済原則に従って日航側の優越感と、それを受ける村側との少々、歪んだ関係性は明らかです。日航は「自分たちが資金を提供しているんだ」という一種のスポンサー意識を持っていますし、村側は日航に遠慮し、なかなかものが言いにくいという心理的隘路に陥っています。

 そもそも日航は、この「慰霊地の扱い」を広報ではなく、総務に担当させています。総務なら「会社をいかに守るか」という論理を優先させがちなのは必然でしょう。組織の論理に「上野村との共存共栄」が含まれていたとしても、実際のところは「組織防衛」という観点から30年前の事故や、現在の村や尾根を見つめざるを得ません。

『十字架を背負った尾根』


まだ誰も目にしたことのない山深き慰霊の地が育む、四季という鎮魂の音色。山を守る人間とともに見つめた「御巣鷹の尾根」30年目の鎮魂の景色

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