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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

空がグレーで住めない中国、環境破壊で崩壊寸前?産業の国外流出が始まった!

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「Thinkstock」より
 10月6日付当サイト記事『中国経済崩壊で訪れる未曾有の事態 疑惑まみれの経済統計、世界中が「見放し」か』では、そのゆがんだ経済構造や統計の不確実性から、中国の発展が限界に達していることについて解説した。

 では、今回はその具体的な要因について見てみよう。

 まず、環境面での限界を挙げることができる。中国といえば、環境問題の悪化が話題になることが多いが、特に大気の状態が劣悪で、首都・北京の空は「1年365日のうち、360日はグレーに染まっている」といわれる。

 光化学スモッグや微小粒子状物質(PM2.5)に代表される大気汚染がひどすぎて、もはや都市部に人が快適に住むのは難しい状況である。北京の交通警察官の平均寿命48歳という数字が、すべてを物語っているだろう。

 そして、その弊害は至るところに表れている。

 例えば、9月3日に北京で「抗日戦争勝利70周年」記念行事が開かれ、天安門広場で軍事パレードが行われた。その際、青空を“つくる”ために、周辺の工業の操業停止などの措置を取ったことは、記憶に新しい。しかし、この「パレードブルー」を演出するために、約3800億円の損失が発生したともいわれている。これは直接的な損失だけで、波及効果を考えれば、実質的な損失額は1兆円クラスにまで膨れ上がるだろう。

『中国壊滅』(渡邉哲也/徳間書店)
 ちなみに、北京では2014年11月にアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会議が開催され、今年8月には世界陸上競技選手権大会も開かれた。国際的行事のたびに同様の施策が採られており、それぞれ「APECブルー」「世陸ブルー」などと揶揄されている。それに付随して、同じように膨大な額の損失が発生していることは、いうまでもないだろう。

 また、中国は水不足にも悩まされている。世界3位の全長を誇る長江の枯渇が、大きな問題になっているのだ。この原因は、09年に完成した三峡ダムである。

 三峡ダムは、世界最大の水力発電所としても知られており、中国の総発電量の約10%を占めている。つまり、三峡ダムでの発電を止めれば水不足は解消されるが、同時に電力供給が減少することによって、さまざまな工場も止まるという構造になっているわけだ。中国としては、さらなる工業発展を進めたいが、そのためには環境を犠牲にせざるを得ないというジレンマに陥っている。

一人っ子政策のツケが回ってきた中国


 2つ目の問題として、人口ボーナスから人口オーナスへの変化がある。

 人口ボーナスというのは全人口に占める若年層が多い状態であり、低賃金の労働力が多いために国家は発展しやすい。逆に、中高年層が多くなると、国家の発展にとってはマイナスであり、その状態を人口オーナスと呼ぶ。