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渡邉哲也「よくわかる経済のしくみ」

空がグレーで住めない中国、環境破壊で崩壊寸前?産業の国外流出が始まった!

文=渡邉哲也/経済評論家

 中国では、1979年に一人っ子政策という人口規制政策が開始された。その第1世代に当たる層は現在30代中盤になっており、その下の若い世代は著しく少ない。中国は、一人っ子政策の代償を今になって払わざるを得なくなっており、人口においても非常にゆがんだ構造を持っているのだ。

 中国の人口ボーナスから人口オーナスへの変化は、13年から14年にかけて顕著化しているといわれており、人口の面から見ても、発展の限界に達しているといえる。

 さらに、「中進国の罠」というものがある。中進国とは中所得国とも呼ばれ、1人当たりの国内総生産(GDP)が3000~1万ドルの国を指す。そして、1人当たりGDPが1万ドルを超えると、国家の発展は著しく遅くなり、なかなか2万ドルの壁を越えられない。

 これは、産業がほかの低賃金国に逃げてしまうからだ。中国の1人当たりGDPは約6000ドルで、すでに軽工業を中心に産業の国外流出が始まっている。まさに、中進国の罠にはまっているわけだ。

 この中進国の罠を抜け出せるかどうかが、新興国であり続けるか、先進国の一員になるかの分水嶺といわれているが、すでに発展の限界を迎えている中国が後者になる可能性は極めて低いだろう。
(文=渡邉哲也/経済評論家)

渡邉哲也/経済評論家

渡邉哲也/経済評論家

作家・経済評論家。1969年生まれ。
日本大学法学部経営法学科卒業。貿易会社に勤務し独立。複数の企業を経営、内外の政治経済のリサーチや分析に定評があり、政策立案の支援、雑誌の企画監修、テレビ出演等幅広く活動しベストセラー多数、専門は国際経済から金融、経済安全保障まで多岐にわたり、100作以上の著作を刊行している。

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