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日本郵政、西室社長退任か 東芝の不正事件受け、首相官邸の意向

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日本郵政本社が所在する日本郵政ビル(「Wikipedia」より/Ons)
 日本郵政の西室泰三社長が来年6月で退任することが、確定的となったもようだ。郵政グループの株式上場を「花道」とするが、実質的には東芝の不適切会計問題の余波を恐れた首相官邸による「解任」といえる。

 東芝の社長、会長を歴任した西室氏は、不適切会計に直接関与はしていない。しかし、現在も相談役として東芝の人事権を握っており、「経営責任は否定できない」と政府筋。政府は後任も財界から選ぶ方向で、水面下の人選に入っている。

 郵政グループは今年11月、日本郵政とゆうちょ銀行、かんぽ生命の3社が同時に上場する。その時価総額は10兆円を超え、NTTグループを超す、過去最大の民営化案件となりそうだ。90社以上の証券会社が幹事団となり、上場に向けた準備を進めている。

 この上場を率いる西室氏は2年前、政権復帰した自民党によって財務省OBの坂篤郎・郵政社長が更迭されたのを受けて社長に起用された。西室氏は上場に向けた経営改革を指揮してきたが、出身母体の東芝が利益水増しなどの不適切会計問題を起こし、歴代3社長が引責辞任する中で、西室氏も来年6月には郵政社長を交代するのが確実となったもよう。関係筋が明かす。

「官邸は当初、『東芝の問題は西室氏が退いた後に起きたこと』だとして、西室氏に経営責任はないとの立場を示していました。株式上場を直前に控えており、この時期の郵政社長交代はなんとしても避けたいとの思いがあったからです。しかし、状況が変わってしまった。一連の報道などで、西室さんが今も東芝の人事に強い影響力を持ち、『西室院政』ともいえる状況にあることが明るみに出てしまったからです」

 西室氏は東芝の室町正志社長に留任を促し、経済同友会の小林喜光代表幹事に社外取締役への就任を求めていた。「日本の市場公正性に世界から疑問符がつけられた前代未聞の不祥事を起こした企業に対して、人事を差配する人物」(政府筋)が郵政社長であり続けることは上場に影響を与えかねないし、「さらに官邸を慎重にさせたのは、西室氏が戦後70年談話に関する有識者会議『21世紀構想懇談会』の座長だったことだった」(同)。

 ただ、上場を指揮した西室氏が早期に辞任すれば、株価にも影響が出かねない。郵政株の政府の売却益は東日本大震災の復興財源に充てる予定であり、今後も一定の株価水準を維持する必要がある。このため政府筋によると、西室氏は引責辞任というかたちではなく、「上場を成功させた後、後進に道を譲るために自ら退任を申し出る――とする案が有力になっている」(官邸筋)という。

 西室氏の後任は、経団連が複数の後任候補を推薦する予定だが、三井不動産出身の曽田立夫郵政副社長を暫定的に社長に起用することも検討されているもようである。
(文=編集部)