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突然、「お金を返してほしい」 身に覚えのない8千万円の借金…法人を襲った不可解な事件

文=山岸純/弁護士法人AVANCE LEGAL GROUP・パートナー弁護士
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 昨年11月13日、当サイト記事『朝日新聞に新たな誤報疑惑 社会福祉法人が提訴 1億円以上被害与える、ルール逸脱の取材』にて紹介した川崎市の社会福祉法人ハートフル記念会(旧ひまわりの会)に新たな問題が上がっています。

「設備債券」と題する不可解な証書によって集められた大金

 事の発端は数年前、老人ホームの入居者の家族が「設備債券」と記載された書類を旧ひまわりの会に持参し、「お墓をたてるのでお金を返してほしい」と依頼してきたことから始まりました。

 この方が持参した「設備債券」には、「緑陽苑とともに歩む会」と称する団体が特別養護老人ホーム緑陽苑の設備の修繕資金に充てるために借り入れたことを示す文言が同会の印鑑と思しき印影と共に記載され、さらに、「社会福祉法人ハートフル記念会(旧ひまわりの会)」がこの借り入れを連帯保証する旨の文言が、旧ひまわりの会の代表印と思しき印影と共に記載されていました。

突然、「お金を返してほしい」 身に覚えのない8千万円の借金…法人を襲った不可解な事件の画像1問題となっている設備債券

 ところが、理事長の千葉新也氏をはじめ、旧ひまわりの会の理事のほとんどはこの「設備債券」の存在を知らず、果たしてそのような債務を本当に負担しているのかどうかすら判断することができませんでした。

 その後、理事長はじめ関係各人が調査したところ、どうやら12年ほど前に、「緑陽苑とともに歩む会」と称する団体が、老人ホームの入居者の家族や川崎市役所のOB、元川崎市議会議員などから合計6000万円から8000万円もの資金を集めていたという事実が判明してきました。

 しかしながら、この「設備債券」には、「旧ひまわりの会が運営する特別養護老人ホーム緑陽苑の設備の修繕資金に充てるために借り入れた」旨の文言があるにもかかわらず、どんなに調査を進めても緑陽苑とともに歩む会や旧ひまわりの会がこれらの金銭を原資としてなんらかの設備を修繕したり購入したりした形跡はまったくありません。

 また、そもそも「設備債券」をお持ちの方々から、緑陽苑とともに歩む会や旧ひまわりの会に金銭が支払われた形跡すら見つけることができませんでした。当職らが旧ひまわりの会を代理し、弁護士法72条に基づいて、各種金融機関に対し公的な照会を行っても同様の結果でした。

 さらに、旧ひまわりの会の前理事長である佐野英司氏にヒアリングを行ったり、緑陽苑とともに歩む会の代表をされている方からお話を伺ったり、さらに、「設備債券」をお持ちの方に照会を行ったりしましたが、真相を究明することはできませんでした。

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