A氏は、トヨタグループの礎を築いた豊田佐吉翁が大叔父にあたり、トヨタグループの総帥・豊田章男トヨタ社長は親戚に当たるが、Aには余罪があるとの情報が持ち上がっている。トヨタグループに詳しいジャーナリストは語る。
「ほかにも肉体関係を迫られたとか、数カ月にわたって愛人にさせられたという若い女性が複数、名乗りを上げ始めています。下請け会社の女性に立場を悪用して迫ったといいます。もし今回発覚した女子大生の件以外でも同様の行為を重ねていたとすれば、トヨタグループのコンプライアンス体制の信用が大きく損なわれる事態に発展しかねません」
トヨタグループといえば、過去に海外勤務の幹部が組織的にわいせつなDVDを密売していたスキャンダルを週刊誌で報じられたことがあるが、「今回の件はそれとは比較にならないほど重大な問題」(同)といえよう。
A氏は11月にアイシンAWを退社しており、同社は「社内ルールに反した言動があったため厳しく処分した」としているが、懲戒解雇だったのかどうかは明かしていない。肉体関係を拒否した女子大生はA氏とLINEでやりとりした証拠を持っており、「関係を持てば親戚扱いにして入社させられる」というような要求を断ると、「それなら採用は絶対にない」といわれたという。
「A氏の社内での評判はかなり悪い。豊田一族だということで周囲があまりモノを言ってこなかったようで、やりたい放題でした。気に入らない役員がいると『あいつを無視しろ』とまるで小中学生のいじめのようなことをやったり、キャバクラの支払いを下請け会社に押し付けたりしていました。今回の件が発覚して社内では『A氏ならいかにもやりそうなこと』という声も聞かれます」(同)
黙殺されたまま終息の可能性も
女子大生はアイシンAWを相手に訴訟を起こす準備を進めているとされる。
「アイシンAW側は、それによって問題が長引くのを一番恐れている。いずれにせよ、今後A氏の余罪が次々出てくれば、個人の問題という一言では済まされなくなり、ブランドイメージの低下は避けられません。別の被害者が出てきても、できるだけ表にしないで終わらせるよう必死のメディア対策をするでしょう。ワイセツDVDのときも、トヨタは報道をほとんど無視して終わらせていました」(同)
そもそも今回の事件では、大手メディアの大半が黙殺中。トヨタが多額の広告スポンサーとあり、報じられても幹部の素性などは伏せたかたちで扱いも小さい。メディアも恐れるトヨタの不祥事だけに、たとえ余罪があっても大きく取り扱われないまま終息ということも考えられる。
(文=藤堂香貴)