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安保徹「間違いやすい医学の常識」

若いうちの薄毛化・大量の抜け毛に要注意!なぜ起こる?無理に止めると慢性化の危険

文=安保徹/新潟大学名誉教授、医学博士
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若いうちの薄毛化・大量の抜け毛に要注意!なぜ起こる?無理に止めると慢性化の危険の画像1「Thinkstock」より

 忙しさや悩みが続き、抜け毛が多くなる経験をしたことのある人は、多いでしょう。仕事が夜遅くまで続き、睡眠時間を削るような生き方をしている人は、若くても髪の毛が薄くなり歯も弱って抜けそうになります。このような反応は、病気をつくる基本現象になっています。

 髪の毛は皮膚が特殊化した組織です。歯は骨がさらに特殊化した組織になっています。多細胞生物は、部分部分で細胞を特殊化して、全体として調和するような構成をとっています。しかし、ストレスが強くのしかかると、特殊化を維持するエネルギーが低下するので、この特殊化した組織を保持できなくなってしまいます。見方を変えると、特殊化した組織を切り捨てて最少のエネルギー消費で命をつなぐ反応といえるでしょう。

 特殊化した組織を切り捨てる反応は、基本的にはマクロファージが行い、そこにマクロファージから進化した白血球群も加わってきます。髪の毛を切り捨てるのは、皮膚の下に存在するマクロファージであるランゲルハンス細胞です。歯や歯槽骨を切り捨てるのは、骨に存在するマクロファージである破骨細胞です。そもそもマクロファージは、多細胞生物になる前の単細胞生物時代の名残の細胞で、アメーバ様のオールマイティの能力を持った細胞です。

 徹夜をする、真夜中までパソコンを使う、一日中休みなく働くなどの急激なストレスが加わると、私たちの肝臓、腎臓、膵臓が悲鳴を上げて破壊されます。これらが急性に破壊された病気が、それぞれ、劇症肝炎、急性糸球体腎炎、急性膵炎です。

熱心に止めると慢性化

 では、これらのメカニズムを考察してみましょう。

 肝臓は腸上皮から胆汁をつくる外分泌腺として進化してきました。もともと肝類洞は体腔に開いていましたが、その後、門脈の進化とともに血管系につながっています。特殊化の度合いが強いのです。腎臓はえらの血管系から排泄器官として進化しています。一時、造血も行っていました。腎糸球体は毛細血管の特殊化の極限にあるでしょう。膵臓は腸の分泌腺から分かれ、特殊化した臓器です。

 いずれにせよ、この3つの臓器は内臓の中でも特殊化の頂点にあるので、ストレス感受性が高いわけです。強いストレスがかかると、特殊化を切り捨てる反応が起こります。マクロファージから進化した顆粒球が切り捨て反応の前線に立ちます。末梢血でも激しい顆粒球増多が見られます。これに、CD8陽性T細胞やマクロファージも加わります。

安保徹/新潟大学名誉教授、医学博士

安保徹/新潟大学名誉教授、医学博士

1947年、青森県生まれ。東北大学医学部卒業。現在、新潟大学大学院医歯学総合研究科教授(国際感染医学講座免疫学・医動物学分野)。米国アラバマ大学 留学中の1980年に「ヒトNK細胞抗原CD57に対するモノクローナル抗体」を作製。89年、胸腺外分化T細胞の存在を発見。96年、白血球の自律神経 支配のメカニズムを初めて解明。国際的な場で精力的に研究結果を発表し続け、免疫学の最前線で活躍
医学博士安保徹 公式サイト

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