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熊谷修「間違いだらけの健康づくり」

理不尽な暴言吐く老人は寿命が短い?新聞や本を読まない人も死亡率が高い!

文=熊谷修/人間総合科学大学教授
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理不尽な暴言吐く老人は寿命が短い?新聞や本を読まない人も死亡率が高い!の画像1「Thinkstock」より

 本連載前回記事をお読みいただき、健やかな老後を実現するには、若い頃から自身の「手段的自立」「知的能動性」「社会的役割」の能力を高める努力を怠ってはならないことはおわかりいただけたであろうか。今回はそのなかの知的能動性の能力に関して刺激的な科学データを紹介しながら、人生後半の余命のミステリアスな部分について解説したい。

 超高齢社会の社会犯罪が知的能動性の能力と深くかかわっていることは意外と知られていない。シニアを標的にした振り込め詐欺が頻発している。これでもかといわんばかりの警鐘情報には触れていても、実践に行動に移せないシニアが犯罪の標的なりやすい。

 この原因のひとつに、知的能動性の衰えによるリテラシー能力の低下があることを見逃してはならない。公衆の面前で理不尽な暴言を吐くシニアの悩ましい行動を目にしたとき、知的能動性の能力低下が背景にあることも考慮する必要がある。加齢に伴い知的能動性が低下することは普遍的な変化であり、早く低下してしまうのかどうかが問題となる。若者も他人事ではない。理不尽なシニアの光景を目にしたときは、将来の自分を見ているのかもしれない。

知的能動性と余命の関係

 ここで興味深いデータを紹介しよう。知的能動性の能力レベルと余命の関係である。調査対象は地域社会で元気に暮らしているシニア約1200名である。まずベースライン(初回調査時)に面接し知的能動性の能力レベルを評価する。能力レベルは次の4つの質問項目で評価できる。「はい」「いいえ」で回答を求め、「はい」が1点、「いいえ」が0点となり、満点は4点である。

(1)年金などの書類が書けますか
(2)新聞を読んでいますか
(3)本や雑誌を読んでいますか
(4)健康についての記事や番組に関心がありますか

(1)の項目は、記入を求められた書類に迅速な対応ができるか否かの確認である。ホテルのチェックイン時の書類記入をおっくうがったり、金融機関での書類の記入要領にしたがった対応に時間を要したりするなどの変化として、能力低下の兆しがあらわれる。若い諸君は大丈夫であろうが、75歳以上のシニアではよく見られる光景である。

(2)は、所要時間を聞いてはいないが、新聞を30分以上読むか否かの確認である。新聞には今日の主要テーマ、政治、国際、経済、時事、社会、名物コラムなどがある。幅広くこれらすべての情報に目を通すには最低30分は要する。

(3)は定期的に本や雑誌を読んでいるか否かである。(4)は自身の健康に目を向けライフスタイルの改善に意欲的か否かを聞いている。(2)~(4)に関しては、「いいえ」の回答になってしまう若者も多いのではないだろうか。

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

熊谷修/博士(学術)、一般社団法人全国食支援活動協力会理事

1956年宮崎県生まれ。人間総合科学大学教授。学術博士。1979年東京農業大学卒業。地域住民の生活習慣病予防対策の研究・実践活動を経て、高齢社会の健康施策の開発のため東京都老人総合研究所(現東京都健康長寿医療センター研究所)へ。わが国最初の「老化を遅らせる食生活指針」を発表し、シニアの栄養改善の科学的意義を解明。介護予防のための栄養改善プログラムの第一人者である。東京都健康長寿医療センター研究所協力研究員、介護予防市町村モデル事業支援委員会委員を歴任

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