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円高の悪夢、再び到来の兆候…企業努力を吹き飛ばす威力、日本経済に大きな逆風

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英国の中央銀行であるイングランド銀行・カーニー総裁(写真:Press Association/アフロ)

 8月4日、英国の中央銀行であるイングランド銀行(BOE)は、2009年3月以来、約7年5カ月ぶりの利下げを含む金融緩和を実施した。今回の金融緩和は市場の予想を上回るものであり、強いハト派姿勢を打ち出した。市場では英国の金利が大幅に低下し、株価も1%超上昇するなど、ポジティブな反応が見られた。

 BOEのカーニー総裁は会見の場で「すべての政策には拡大の余地がある」と積極的な金融緩和姿勢を強調した。この表明は、英国のEU離脱交渉がどう進むか不確定要因が多いなか、投資家の先行きへの懸念を緩和することを目指したものといえる。

 今回のBOEの金融緩和は、世界の主要中央銀行の金融政策がより緩和的な方向に向かうことを示唆する。欧州中央銀行(ECB)も先行きへの懸念を払しょくするために追加緩和に踏み切る可能性がある。対照的に利上げの可能性が残るのは米国だけだ。今後、世界的な金融緩和の流れが強まることは、日本の金融政策にも影響するだろう。各国が金融を緩和する背景には、短期から長期までの金利に低下圧力をかけることで、間接的に自国通貨の減価を誘発したいからだ。

 短期的に為替レートは内外の金利差に反応しやすい。一方、市場では日本の金融政策の限界が指摘されている。冷静に考えると、日銀の追加緩和は容易ではない。先行きも不透明ななか、主要通貨に対して円が強含む可能性があることには注意が必要だ。

予想を上回る金融緩和を決定したBOE


 4日のイングランド銀行の政策決定会合を控えるなか、市場参加者は0.25ポイントの利下げを想定していた。一方、先行きの緩和余地を残すために、国債の買い入れ額は据え置かれるのではないかとの見方が多かった。英国の国民投票後の市場のパニックが短期間で収束したこともあり、緩和が見送られると考えた市場参加者もいたようだ。

 これに対して、イングランド銀行は利下げ(0.5%から0.25%)、国債買い入れ額の増額(3,750億ポンドから4,350億ポンド)、社債買い入れの開始(100億ポンド)などからなる金融緩和を発表した。特に、国債買い入れの増額は市場にサプライズを与え、英金利は急低下し、ポンドは対ドルで1.5%程度急落した。

 BOEが市場の期待を上回る緩和を打ち出した理由は、6月23日の国民投票で予想外にEU離脱が決定したため、先行きの景気見通し悪化の影響を緩和するためだ。現時点で、英国はEUに対して正式に離脱を申請してはいない。英国がドイツなどのEU加盟国や欧州委員会と、どのように交渉を進めるかは不透明だ。そのため、状況の進展を見守りつつ金融緩和を進めてもいいのではないかとの考えもあるだろう。