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有馬賢治「日本を読み解くマーケティング・パースペクティブ」

ファミレス、深夜営業の終焉…なぜ「深夜の語り合いの場」としての意義が消失したのか

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ロイヤルホストの店舗(「Wikipedia」より/Tokoroten)

 今年1月、ファミリーレストランロイヤルホスト」は、店舗の24時間営業を廃止し、「ガスト」「すかいらーく」「ジョナサン」などの大手ファミレスも続々と深夜営業を縮小している。

 なぜ外食チェーン各社は深夜営業の縮小・廃止の動きを加速させているのだろうか。立教大学経営学部教授の有馬賢治氏に解説してもらった。

通信手段の変化が“若者のファミレス離れ”を助長


「ファミレスの24時間営業の縮小・廃止の理由として、コンビニエンス・ストアの惣菜などが充実したために、夜間の外食需要が減少したのではないかといった見解があります。しかし、コンビニの日常生活への浸透は最近の出来事ではありません。ですから、ここにきてコンビニと夜の外食需要を直結させて考えることは難しいでしょう」(有馬氏)

 1970年代に生まれたコンビニは、年々数を増やし続けて人々の生活に根付いて久しいのは確かだ。では、コンビニが主な原因ではないとすると理由は何なのだろうか。

「私は消費者のコミュニケーション・スタイルの変化によるところが大きいのではないかと考えます。深夜のファミレスは、かつては若者を中心に“食事の場”よりも“コミュニケーションの場”として利用されていた向きがありました」(同)

 しかし、現代ではどの家庭でもインターネット環境が整い、誰もが手軽に無料通話やテレビ会議のアプリを使える時代となった。この通信インフラの変化が、若者のライフスタイルにも影響を与えているという。

自宅コミュニケーションのメリット


「従来は直接会わなければ対話は難しかったのですが、スマホやタブレットの普及により、自宅にいながら同様の時間が過ごせるようになりました。無料で済むものをわざわざ深夜割増まで支払ってファミレスに行こうという気持ちが、特にお金に余裕がない若者には想起してこないのではないでしょうか」(同)

 自宅コミュニケーションのメリットは、ほかにもある。

「まず、ファミレスまで出かける時間が節約できます。また、車で出向く距離で考えるならば、運転手も不要ということになります。通信にコストもほとんどかからないので、コミュニケーションをする頻度も上げられるでしょう。各自の都合による途中退場も面と向かっているよりも気兼ねが少ないでしょう。さらに、当事者だけでなく保護者の立場からみても、未成年者が夜間に外出しないことへの安心感もあります。このような理由から、深夜のコミュニケーションの場にわざわざファミレスを選ぶ必要が低くなったのだと分析できます」(同)

団体客から個人客へとターゲットを移すべき


 となると、外食産業の深夜営業が今後どうなっていくのかは気になるところだ。

「もし、敢えて深夜帯での営業を強化するのであれば、採算が取れるオペレーションができることが前提ですが、例えばPC作業など仕事で利用する顧客の利便性を確保するために、充電やWi-Fiなどを充実させることが考えられます。また、夜間労働者が利用することを想定して、仮眠室やシャワーを併設するのもひとつのアイディアかもしれません。いずれにしても、団体客よりも個人利用客が満足する空間提供の工夫が必要なのではないでしょうか」(同)

 もっとも、「朝活」などの言葉に表れているように、昨今は深夜よりも朝のサービスに注目が集まる時代。無理に夜間の営業に固執するよりも、早朝型ビジネスに目を向けたほうが効率が良いのかもしれない。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)

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