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日本の携帯電話メーカー、瀕死に陥った「本当の理由」

文=編集部
日本の携帯電話メーカー、瀕死に陥った「本当の理由」の画像1ベストセラーとなった富士通の「FOMAらくらくホン」(「Wikipedia」より)

 かつて、世界ナンバー1を誇っていた日本のエレクトロニクス産業が、衰退に歯止めがかからなくなっている。

 世界トップクラスの総合エレクトロニクスメーカーの富士通が、携帯電話事業を売却する方針を固めたことが大きい。9月中にも入札手続きを開始する予定だ。

 売却先の候補には、ポラリス・キャピタル・グループや英CVCキャピタル・パートナーズなどの投資ファンドのほか、中国のレノボグループやファーウェイ(華為技術)、台湾の鴻海精密工業(ホンハイ)などが浮上している。売却額は数百億円規模といわれている。

 ホンハイはシャープを買収したのに続き、東芝メモリの買収にも手を挙げている。日本のエレクトロニクス企業は“お買い得”とみなしているようだ。

 富士通は2012年、東芝の携帯電話事業を統合した。高齢者を主要な顧客に据えた「らくらくホン」が大ヒットした。スマートフォン・タブレットの「アローズ」を主力ブランドとした携帯電話事業は、NTTドコモでの展開が主力だ。17年3月期の出荷台数は320万台、18年同期は310万台の見通しで、ピークだった12年3月期の800万台から4割にまで縮小した。同事業の17年3月期の売上高は1500億円超、営業利益は100億円前後とみられている。

 富士通は16年2月、携帯電話を非中核事業として分社化。100%子会社の富士通コネクテッドテクノロジーズを設立して本体から切り離し、売却の準備を整えていた。

 富士通の18年3月期の連結決算(国際会計基準)は、売上高にあたる売上収益は前期比0.8%減の4兆1000億円と微減だが、営業利益は58%増の1850億円、純利益は64%増の1450億円と大幅増益の見込みだ。この数字に携帯電話事業売却の影響は織り込まれていない。

 富士通の事業は3つに大別される。18年3月期の売上計画によると、中核のシステム開発やサーバー販売などのIT分野が74.8%、パソコンや携帯電話が15.6%、半導体・電子部品が13.6%(部門間取引があるため合計は100%を超える)。

 富士通は今後、中核のITサービスの体質強化を図る。人工知能(AI)やあらゆるモノがネットにつながるIoT(Internet of Things)など、先端技術を活用したサービスに経営資源を集中する。

 ほかの事業は、外部との協業を模索する。コモディティ化した携帯電話は売却することにした。コモディティ化とは、当初は価値ある商品でも、機能・品質などの属性と無関係に経済価値が同質化するといった意味だ。冷蔵庫や洗濯機、テレビ、パソコン、携帯電話などがこれにあたる。日本のエレクトロニクス業界で撤退が相次いでいるのは、コモディティ化に伴い、軒並み採算が取れず赤字になったことが原因だ。

BusinessJournal編集部

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